レオパレス21が太陽光の屋根貸しサービスに参入、神奈川県の700棟で8.4MW自然エネルギー

太陽光発電システムを自ら設置するのではなく、屋根を貸して賃料を得た方が将来の不確実性は少ない――このように判断するアパートオーナーも多いだろう。しかし、「屋根貸し」はまだまだ一般的なサービスになっていない。そこで神奈川県とレオパレス21が協定を結び、普及に乗り出した。

» 2013年06月25日 13時00分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]

 電力のまさに消費地で発電する、太陽光発電にはそれが可能だ。戸建て住宅の屋根はもちろん、集合住宅の屋根にも適する。「当社が管理する物件は屋根が平らであり、太陽電池モジュールの設置に適する」(レオパレス21)。

 都市部に多いアパートの屋根は太陽光発電に向く。用地はあるということだ。しかし、各物件の所有者(オーナー)に投資判断を求め、資金調達を任せていると、普及が進みにくい。そこで「屋根貸し」サービスと組み合わせる。

 最初に立ち上がったのが神奈川県だ。レオパレス21と太陽光発電事業の普及に関する協定を2013年6月に締結した。協定の内容は2点ある。まず、レオパレス21が管理する神奈川県内のアパート約2900棟のうち、700棟を目標に「屋根借り」を受け、太陽光発電施設を設置することだ。次に、神奈川県は屋根貸しに関する啓発を行い、レオパレス21の取り組みが県の「スマートエネルギー構想」に沿ったものであることを2014年3月末まで広報する。県の役割はアパートオーナーに訴えかけるものだ。

図1 「屋根貸し」による太陽光発電の普及。 出典:神奈川県

 以上の取り組みの全体像を図1に示す。レオパレス21は、三菱UFJリース、オムロンとの3社で特定目的会社(SPC)を設立、レオパレス21が5%を出資する。屋根はSPCが20年契約で借り受け、太陽光発電システムの設計・調達・建設はレオパレス21が請け負う。完成後の保守管理はオムロンフィールドエンジニアリングが担う。発電した電力は全量売電する。

 「700棟、8.4MW」という目標はどのように決まったのだろうか。築年数が10年未満で、日照や周辺環境、屋根形状などの条件から設置に適した物件700棟をレオパレス21が選んだ。「神奈川県の物件は全国平均と比較するといくぶん小ぶりであるため、1棟当たりの出力を12kWと見積もった。この数字を700棟に掛けると総出力となる」(レオパレス21)。

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