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» 2013年07月12日 11時00分 UPDATE

自然エネルギー:島根で出力10.8MWのバイオマス発電を立ち上げる、間伐材や林地残材を利用

豊田通商の関連会社であるエネ・ビジョンは、島根県に木質バイオマス発電所を立ち上げる。林業が盛んな立地であり、未利用だった間伐材や林地残材など11万8000トンの木質バイオマスを引き受ける。効率良く発電でき、設備投資を2年で回収できる計算だ。

[畑陽一郎,スマートジャパン]

 林業にはさまざまな課題がある。その1つが、森林の手入れである「間伐」がなおざりになりがちなこと。これは手間(コスト)が掛かるからだ。もう1つは伐採後に山林に残る未利用の資源「林地残材」だ。樹木の先端部分など製材に利用できない部分はほとんどが放置されてしまう。

 島根県は林業が盛んだ。県の面積のうち78%を森林が占めている。岐阜県、山梨県に次ぐ森林県だといえる。間伐材や林地残材をバイオマス発電に生かすことができれば、林業の発展に役立ち、地元発の再生可能エネルギーを生むことができるという発想が支持されたのはこのような背景があるからだ。県は「木質バイオマス発電事業化支援」政策を発表、補助金8億円と資金融通18億円の枠を用意し、進出企業を募った*1)

*1) 島根県の林業振興に役立てるため、可能な限り県産の木質バイオマスを県内の事業者から調達すること、使用する燃料の50%以上を国産由来の木質バイオマスとすることなどを条件としている。

 これに応えたのが、エネ・ビジョンとナカバヤシ(関連記事)だ。

yh20130712evex_map_250px.jpg 図1 バイオマス発電所の建設予定地

 エネ・ビジョンは豊田通商などの出資によって設立されたコージェネレーションシステムなどに取り組む企業。今回、木質バイオマス発電事業に参入し、2013年7月10日には、木質バイオマス発電の事業会社「合同会社しまね森林発電」を設立したことを発表。設備や土木建築に44億円を投じて、出力10.8MW(送電端、発電端は12.7MW)のバイオマス発電所を建設する。2013年内に着工し、2015年4月の売電開始を予定する。年間発電量は8600万kWhを想定し、固定価格買取制度(FIT)により、売電収入として年間最大24億円を見込む。

 建設予定地は、島根県の中央部に位置する人口2万5000人のまち、江津市(ごうつし)の工業団地だ(図1)。間伐材や林地残材などを島根県素材流通協同組合などから調達する。一部輸入品のパームヤシ殻(PKS)*2)を加え、年間11万8000トンの木質バイオマスを利用する。

 発電所は、さまざまな燃料が利用できる循環流動層ボイラーを備え、蒸気タービン発電機で発電する。

*2) パームヤシにはココヤシやアブラヤシなどが含まれ、いずれも食用部分を取り除いた後の木質の殻が無駄になる。例えばアブラヤシから取れるパーム油の生産量は全世界で年間4500万トンにも及ぶ。アブラヤシの含油率は約5割なので、アブラヤシだけで約4500万トンの殻が余ることになる。全世界のアブラヤシのうち、8割以上がインドネシアとマレーシアの2国で生産されているため、輸入しやすい。

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