文具メーカーが挑戦、木の豊富な島根県でバイオマス発電自然エネルギー

バイオマス発電は、太陽光や風力と異なり、エネルギー源となる木質を企業が積極的に集めなければ発電できない。文具メーカーが参入するにはどうすればよいのだろうか。

» 2013年04月18日 09時00分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]

 木質バイオマス発電は太陽光発電などと比較すると、参入するハードルが高い。林業や製紙業、リサイクル業など、もともとバイオマスに関連した企業でないと、取り組みにくいのだ。なぜだろうか。燃料が手に入りにくいからだ。発電所が運営される限り、林地残材や廃材などを日々、一定量入手しなければならない。これが太陽光や風力、小規模水力などとは違ったバイオマスの難しさだ。

 写真アルバムや文房具などを扱うナカバヤシは、2013年4月、約30億円を投じて島根県松江市に出力6.25MW、年間発電量4342万kWhのバイオマス発電所を建設すると発表した(図1)*1)。流動層ボイラーと蒸気タービンを組み合わせた発電所であり、2015年4月に発電を開始する計画だ。年間13億円の売電収入を見込む。

*1) 子会社として松江バイオマス発電を設立し、ナカバヤシが55%出資する。その他、日本紙パルプ商事が40%、島根県の三光が5%出資する。

図1 島根県松江市大井町に建設する

 そもそもなぜナカバヤシがバイオマス発電に取り組むのか。「当社はノートや印刷物などを取り扱っていることから、シュレッダーやシュレッダーで集まった紙のリサイクルにも事業として取り組んでいる。今回さらに川上にあたる木質バイオマスに注目した」(ナカバヤシ)。同社は1971年に島根県に工場を設立しており、島根県とのつながりがある。島根県の林地面積は78%と高く、木材の需要よりも供給が多い状態だ。

 燃料の木材は年間8万8000トン必要だ。森林組合や木材チップの製造業者が多数加盟する島根県素材流通協同組合から燃料を購入できるめどが立ったことから、木質バイオマス発電に参入した。間伐材や未利用木材など、島根県産の木材を約75%利用する(国産木材チップを合わせると約90%)。

 島根県からの補助金の支援も受ける。島根県が木質バイオマス支援の対象に選んだ企業は、ナカバヤシとエネ・ビジョンの2社である。

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