公立小学校などの屋根を貸し出し、千葉市が太陽光488MWへ一歩進む自然エネルギー

2020年度までに太陽光発電の市内導入量488MWを目指す千葉市。そのうちメガソーラーが占める割合は10%以下だ。住宅や民間事業所などへの設置を目指す。さらに、市有施設、例えば学校の屋根を賃借することで、普及の拡大を図る。

» 2013年08月06日 07時00分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]
図1 千葉市の位置

 地方自治体が公共施設の屋根を太陽光発電事業者に貸し出す事例が増えている。屋根には用途がない場合も多い。公共施設の丈夫な屋根は理想的な設置場所といえるだろう。都市部では空き地も少なく、学校などの屋上が「資源」に早変わりする。

 千葉市は市内6区に位置する小学校16校、中学校7校の屋根を太陽光発電事業者に貸し出す事業を開始する(図1)。千葉市としては初の屋根貸しプロジェクトだ。

 設置面積や容量、賃借料は企業からの企画提案によって決まるものの、おおよその目安はある。「先行事例を見ると賃借料は100円/m2程度だろう。23校に設置可能な建物が54棟あり、1棟当たりの平均屋根面積は500m2、この面積に設置できるのは50kW程度だと考えている」(千葉市環境局環境保全部環境保全課温暖化対策室)。

 図2に貸し出し対象となる23の学校(オレンジ色)と、既に太陽光発電システムを設置済みの8校(緑)の位置を示した。写真は緑の5番の学校の例だ。

図2 貸し出し対象の学校と既に設置済みの学校。出典:千葉市

 図3には対象となる施設のうち、中央区に位置する4校の例を示した。屋根貸しが可能な23校の屋根の面積を単純に合計すると約4万2000m2になる。ただし、屋上に構造物が存在する場合があるので、この面積を全て発電に利用できるわけではない。

図3 対象施設の条件。出典:千葉市

 2013年9月12日から同19日まで太陽光発電事業者から企画提案書を受け付ける。1校単位で、複数校の応募が可能だ。その後、10月上旬に事業者を決定、2014年3月から発電を開始し、20年間継続するというスケジュールだ。

2020年までに太陽光を488MW導入

 今回の計画は2013年3月に策定された「千葉市再生可能エネルギー等導入計画」に基づくものだ。導入計画では2020年までの市域における「再生可能エネルギーを普及させるための施策」を定めている。2020年度時点の目標は太陽光発電や太陽熱利用、地中熱利用、コージェネレーションシステムの4項目についてまとめられている(図4)。2020年度までに市内で創出されるエネルギーで総消費量の11.1%をまかなうという意欲的なものだ。

 太陽光発電に注目すると、千葉市の計画は人口96万人の大都市らしくメガソーラーに依存していない。2020年度の目標出力488MWのうち、メガソーラーは10%以下の45MW。住宅の屋根(121MW)や民間事務所(318.2MW)の比重が高い。

図4 千葉市のエネルギー導入目標。出典:千葉市

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