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» 2013年08月28日 07時00分 UPDATE

エネルギー管理:時間帯別の電気料金を生かすには――電気料金を半減する方法

電力の需給に応じて電気料金が変動するダイナミックプライシング。日本コカ・コーラはダイナミックプライシング時に飲料の自販機の電気料金がどのように変わったのか、北九州市での実証実験の結果を公開した。

[畑陽一郎,スマートジャパン]

 将来の電気料金体系はどのようなものになるのだろうか。その1つが、需要と供給に従って時々刻々と料金が変化する「ダイナミックプライシング」だ。ダイナミックプライシングが大規模に導入されると、ピークシフト、ピークカットが市場原理に従って自然に進むようになる。高い電力を必要以上に購入することはないからだ。

 現在でも日中のピーク時間帯の料金は高く、夜間を安くという料金メニューを選択できる。ダイナミックプライシングはこれが進化した形だ。現在の制度もダイナミックプライシングも制度の目的は同じである。

yh20130828CocaCola_machine_222px.jpg 図1 ピークシフト自販機。出典:日本コカ・コーラ

 ダイナミックプライシングが導入される将来、さまざまな機器の省エネ性能はどうあるべきなのか、日本コカ・コーラは飲料の自動販売機(図1)を使った実証実験を2013年7月1日に開始した。経済産業省の実証事業の1つ「北九州スマートコミュニティ創造事業」の一環として取り組んだものだ。

 2013年8月には約1カ月分(7月1日〜7月25日)のデータに基づいた中間発表を公開した。省エネ機器のあるべき姿のヒントが分かる。

電気料金を2分の1に削減可能

 同社の実証実験では、1995年に導入を開始した省エネ機能を備える「従来型省エネ自販機」1台と、2013年に導入を開始した「ピークシフト自販機」1台を北九州市八幡東区に並べて設置し、消費電力量と電気料金を比較した。

 ダイナミックプライシングが適用された2013年7月24日の電力需要と電気料金を図2に示す。図2では電気料金を30分ごとに示した。8時から22時は夜間と比較して料金が高い。これは通常と同じだ。7月24日の特徴は13時から17時までの4時間、150円/kWhという非常に割高な料金が設定されたことだ。

yh20130828CocaCola_pricing_584px.jpg 図2 2013年7月24日の電力需要と電気料金。出典:日本コカ・コーラ

 するとどうなったか。2種類の自販機で電気料金に2倍の差が付いた。従来型省エネ自販機の7月24日の飲料1本当たりの電気料金は3.14円、対してピークシフト自販機は1.57円となった。なぜ2倍もの差が付くのか。

 図3は実証実験に用いた2台の自販機の消費電力量を1時間ごとに集計した結果だ。青い棒グラフはピークシフト自販機を表す。ピークシフト自販機は夜間に飲料を冷却し、16時間は冷却用電力をゼロにできる。このため、7時から23時までの16時間、自動販売機の運転(待機電力)のため、平均して17Wしか電力を消費しない。

 赤い棒グラフは従来型省エネ自販機の消費電力量だ。従来型も「省エネ」という言葉通り消費電力は比較的低い。さらにタイマー設定によって3時間までなら冷却用電力をゼロにできる(関連記事)。しかし、ダイナミックプライシングが4時間続いたため、16時台に割高な電力を使ってしまった。

 図3から読み取れるように、7月24日における1日の総電力消費量を比較すると、ピークシフト自販機の省エネ率は従来型省エネ自販機と比較して5%程度である(約3100Whと約3200Wh)。それにもかかわらず電気料金は2倍違う。

yh20130828CocaCola_Wh_584px.jpg 図3 2台の自販機の消費電力量の比較。出典:日本コカ・コーラ

 将来ダイナミックプライシングが導入された際、どの程度の規模(時間)となるのかは分からない。それでも、電力会社が毎日公表している電力需要曲線から、最大14時間程度消費電力量を低く抑える仕組みが必要となる可能性がある。

 つまり、さまざまな機器の省エネ性能を高めていこうとするなら、満遍なく省エネを実現できることに加えて、ある程度の時間、エネルギー消費量を極端に抑えていく仕組みが必要だということになる。これが機器設計者に対する結論だ。

 なお、ピークシフト自販機では3つの工夫を取り入れることで、16時間冷却しなくてもよい性能を実現している。まず、一部の飲み物だけではなく、全ての飲み物を冷却することにより、飲み物間で熱の移動が起きないようにしたことだ。次に、従来のウレタン断熱よりも断熱性能が10倍高い真空断熱を採用したこと。最後に気密性を高めるために自販機の扉を改良したことだ。

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