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» 2013年09月12日 09時00分 UPDATE

電力供給サービス:世界最大の洋上風力発電所、その送電事業を取得した三菱商事の狙いとは (1/2)

2020年には約5000万kWにまで規模が拡大する欧州の洋上風力発電。三菱商事は洋上風力発電に不可欠な海底送電事業を取得することで、市場拡大と歩調を合わせた事業拡大を狙う。2013年9月には世界最大の洋上風力発電所London Arrayの送電事業を他企業と共同で、700億円を投じて買収した。

[畑陽一郎,スマートジャパン]

 洋上風力発電市場が急速に成長している。日本では各地で実証実験が続いており、大規模な導入に進むための実条件を引き出そうとしている。これは浮体式と呼ばれる先進的な方式を導入しようとしているからだ。

yh20130710LondonArray_map_250px.jpg 図1 London Arrayの位置

 欧州、特に北海を囲む諸国では遠浅な北海の地形を利用して、海底から立ち上がる風車を数十〜数百台、規則的に配置した洋上風力発電所が続々と立ち上がっている。2013年7月にはイギリス沿岸に世界最大の風力発電所「London Array」(図1、詳細はこちら)が完成。出力は630MWにも達し、風の条件が良いことから、英国の一般家庭50万戸の年間消費電力量をまかなえるという。

 洋上風力発電所を実現するには、ブレート(羽根)やタービン、タービンを保持するタワーなど発電に直接関係する部材の設計、開発、製造、設置、それぞれの技術が欠かせない。巨大な資本も必要だ。さらに陸上までいかに電力を送るか、送電技術の重要性には洋上ならではのものがある。設置や保守は陸上の送電線よりも難しく、数十年にわたって維持するには資金力も必要だ。さらに遠浅の海に発電所を設置しているため、陸上までの送電距離も長い。London Arrayでは陸上配線部分を含め55kmを送電する必要がある。

海底送電事業に活路を見いだす

 三菱商事は、洋上風力発電を支える海底送電事業に活躍の場を見いだしている。2013年9月には、London Arrayの海底送電の事業権を英国のインフラ投資会社であるBarclays Infrastructure Funds Management(BIF)と共同で取得(買収)した。事業費は4億6000万ポンド(700億円)に達するため、2社が10%ずつを出資、残りの80%は、三菱商事が送電資産の効率的な運営を目指して設立した英Diamond Transmission、その子会社が金融機関から調達する。

 三菱商事が打ち出す「経営戦略2015」では、非資源分野において2020年ごろに連結純利益の倍増を目指している。欧州では2020年までに洋上風力発電の規模が約5000万kWにまで拡大する計画があり、海底送電事業もそれに比例して伸びていく。今後は送電だけでなく、送電系統安定化に関係する事業にも進出する可能性がある。

 London Arrayにおける三菱商事の役割は、洋上風力発電事業者から受電した電力を陸上の系統側、送配電事業者に送電することだ。複数の風車から送られてくる電力を1カ所に集めて陸上まで送電する。洋上の事業者から20年間にわたり手数料の支払いを受けることで利益を出す形だ。

 三菱商事が手掛ける海底送電事業は2011年11月に事業権を取得した英国の西海岸に位置するWalney 1から始まり、今回London Arrayが加わったことで英国に4カ所、この他ドイツに4カ所があり、合計8カ所だ。8カ所を合計すると海底送電距離は866km、送電容量は410万kWに達する(図2)。国内はもちろん、国際的にも既に電力事業者以外が手掛ける規模としては最大級だ。

yh20130912Diamond_table_590px.jpg 図2 三菱商事が参画する海底送電事業。出典:三菱商事
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