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» 2013年09月27日 07時00分 UPDATE

発電・蓄電機器:その手があったか太陽光発電、一見無駄に見える太陽電池が1.4倍の差を生む (1/2)

Looopは地上設置用の太陽光発電システム「自分で作れるMY発電所キット72」を製品化した。太陽電池の合計出力は72kW。特徴はパワーコンディショナーの出力を49.5kWに抑え、低圧契約を可能としたことだ。過剰な22.5kW分の太陽電池は無駄にはならず、売電量が増える。なぜだろうか。

[畑陽一郎,スマートジャパン]

 太陽光発電システムを地上に設置する場合、合計50kWという出力が「分水嶺」になる。法制度上、出力が50kW未満の場合は低圧で系統連系(低圧契約)できるが、50kW以上だと高圧契約となり、コストはもちろん、工事に取り掛かるまでに必要な時間が数カ月単位で延びてしまうからだ*1)。従って、市販されている太陽光発電システムの出力は50kWをわずかに下回るものが多い。

 Looopが2013年10月に製品化した太陽光発電システム「自分で作れるMY発電所キット72」は、太陽電池モジュールの合計出力が72kWだ。なぜ50kWよりも高めたのだろうか。

yh20130926Looop_kit_449px.jpg 図1 自分で作れるMY発電所キット72の主な内容。出典:Looop

 Looopの考え方は明快だ。太陽電池モジュールの合計出力が49.5kWを超えた場合は、パワーコンディショナーが内蔵するピークカット機能が働いて、系統への出力は低圧契約の範囲内に抑えられる。従って、太陽電池モジュールの合計出力が72kWであっても、50kWのシステムと同様に運用できる。これだけでは電力が無駄になるだけだが、太陽の高度が低い場合でも、50kWのシステムよりも出力が大きくなるという利点がある。

 切り捨てられる電力と、より多く得られる電力のどちらが大きくなるのか、これがLooopの問題意識だ。

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公開している日照量のデータを当てはめて計算すると、ピークカットにより失われる発電量は意外に少ないという。仙台市ではピークカットによって失われる量は総発電量の2.3%となった。甲府市では1.85%、宮崎県都城市では0.57%、茨城県笠間市では0.38%と少ない。このため、一般的な50kWのシステムと比べて年間発電量が約1.4倍に高まるという。1kW当たり37.8円で売電した場合、年間売電量は仙台市で約311万円、笠間市で約298万円となる計算だ。

yh20130926Looop_daygraph_575px.jpg 図2 太陽光発電システムの1日の出力曲線。出典:Looop

 以上の効果がどのように働くのかを図2に示した。山のような形をした黄色の部分(1)は、太陽電池モジュールの合計出力がもともと49kWになっているシステムの発電量だ。日の出とともに出力が上がっていき、49kWに達した後、また下がっていく。

 黄色の部分に緑色の部分(2)をかぶせた、あたかも頂上が平らに削られたかのような図形が、Looopのシステムの発電量だ。午前中や午後の出力は49kWのシステムよりも高く、正午を挟んである程度の時間、出力が最大値にとどまる。太陽電池の発電量は図形の面積に比例する。Looopのシステムの方が(2)の面積の分だけ有利である。

 なお、薄い緑で示した部分(3)は、Looopのシステムが本来持つ発電能力だ(図2では60kWで止まっているが、実際には72kWまで達する)。しかし、パワーコンディショナーのピークカット機能が働くため、(3)の部分はパワーコンディショナーから系統には出て行かない。無駄になる部分だ。この(3)の面積が甲府市では(1)と(2)と(3)を合計した面積の1.85%に相当する。

*1)50kW以上の場合、電気事業法の規定により、太陽光発電システムであっても自家用電気工作物という取り扱いになる。キュービクル(金属製の外箱)の設置が必要になる他、主任技術者を選任し、保安規定を届けなければならない。さらに建設前に電力会社と事前相談を終え、接続検討申込書の提出が必要になる。50kW未満ならこれら全てが不要だ。

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