京都銀行の支店がスマートハウスに変身、技術の使い方に優れるスマートハウス

京都銀行は環境配慮型店舗の取り組みの集大成として、二酸化炭素(CO2)排出量ゼロを目指した店舗を長岡京市に建設する。壁面設置の太陽光発電システムや太陽光による電気自動車の充電などの最新技術はもちろん、自然光や自然風の導入まで、使える手段を総動員した形だ。

» 2013年10月03日 15時00分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]
図1 京都府長岡京市の位置

 京都銀行は京都府を中心に167の店舗を展開する地方銀行だ。銀行としては異色の取り組みを進めており、二酸化炭素(CO2)排出量ゼロをうたう店舗を立ち上げる(図1)。手狭になった「東長岡支店」(長岡京市馬場見場走り)を建て替える際、省エネ設備やパッシブエネルギー(自然力)、太陽光発電、電気自動車などを導入することで実現する。

 同行はこれまでも各地の店舗を新築するごとに環境対応を強化してきており、LED照明の導入や太陽光発電システムの設置、地元産木材の導入、周辺緑化などを通じて環境負荷を下げてきた。東長岡支店では、従来の取り組みを一歩進める形だ。省エネ設備とパッシブエネルギーの利用によってCO2の排出量を従来比39%減とし、残りの61%を太陽光発電によって削減する(図2)。これが排出量ゼロを実現する仕掛けだ。

 今回の計画では大和ハウス工業と三菱電機の協力を得ている。「大和ハウス工業がシステム全体の設計を担当し、三菱電機が個々の機材や装置を担う」(京都銀行)。

 東長岡支店の従来店舗を取り壊し、隣接地も賃借することで面積を確保した。2013年6月に着工済みであり、2014年3月に完成を予定する。店舗自体の営業は完成前の2013年12月から開始する。

図2 旧店舗と比較した新店舗のCO2排出量。出典:京都銀行

太陽光に特徴あり

 東長岡支店の取り組みのうち、際立つのが太陽光発電システムの導入手法だ。店舗の屋上に設置するのはもちろん、駐車場上屋と店舗の南壁面にも据え付ける(図3)。壁面利用は珍しい。「同支店の年間消費電力相当をまかなうために、壁面と駐車場を利用した形であり、年間発電能力として約4万1000kWhを予定する」(京都銀行)。

図3 東長岡支店の新店舗の完成予想図。地上2階建、店舗延面積652.33m2。出典:京都銀行

 空調と照明には省エネルギー製品を取り入れる。超高効率空調機と全熱交換器*1)を導入し、出入り口のエアカーテンで熱の移動を防ぐ。照明にはLEDを導入する。

 空調と照明の改善では高性能な装置だけには頼らない。パッシブエネルギーも併用する。光ダクトで自然光を取り入れ、照明を補う。自然換気システムで自然風を室内に導き、室温調整に役立てる。微風でも自然に開閉する換気窓を使う。外付けロールスクリーンも導入する。夏季に雨水などをスクリーンに散水することで冷却効果を狙う。

*1) 排気する空気から熱と水蒸気を取り出し、吸気する空気に加えるシステムだ。例えば暖房時に換気しても、熱や湿度が失われにくくなる。その結果、消費電力量が低減する。

 今回の京都銀行の試みは建物自体のCO2排出量ゼロにとどまらない。営業車両に電気自動車を導入することでトータルな削減を目指す。「日産自動車のリーフと三菱自動車のi-MiEVを1台ずつ導入する」(京都銀行)。充電時のCO2排出量についても考慮した。太陽光発電システムから電気自動車に充電する。

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