誕生から81年で設備を一新、水力発電所が4000kWパワーアップ電力供給サービス

全国各地で古い水力発電所の設備を更新する検討が進んでいる。九州電力は宮崎県で1938年から運転を続けている「塚原発電所」の設備を一新して、発電能力を4000kWも増強する計画を進める。2014年5月に着工して、2019年4月から新しい設備で発電を開始する予定だ。

» 2013年10月18日 09時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 塚原発電所の水力源である「塚原ダム」は、日本で初めて近代的な施工方法によって造られた歴史的な建造物で、国から「近代化産業遺産」に認定されている(図1)。このダムには変更を加えずに、ダムから水を取り込んだ後の発電設備や発電所の建屋などを一新する計画だ。

図1 発電設備を更新する「塚原ダム」。出典:九州電力

 現在の塚原発電所では4基の大型発電機(1基あたり1万5650kW)のほかに、ダムから下流に放流する「維持流量」を生かした小水力発電設備(450kW)を運転している。このうち大型発電機を2倍以上の能力がある最新設備(3万3300kW)に更新して、2基に集約する。全体の発電能力は6万3050kWから6万7050kWへ、一気に4000kWも増える(図2)。

図2 「塚原発電所」の設備更新計画の概要。出典:経済産業省

 大規模な水力発電所(3万kW以上)の建設・更新にあたっては、国や地元の自治体との間で「環境影響評価」のプロセスを経る必要がある。九州電力は一連の手続きが10月7日に完了したことを受けて、2014年5月に塚原発電所の建設工事に着工することを決めた。

 新1号機は2019年4月に、新2号機は2019年5月に運転を開始する予定だ。新2号機が稼働する9カ月前の2018年8月から既存の発電設備を停止させる。ただし工事の影響を受けない小水力発電設備だけは稼働を続ける。

 このように古い水力発電所の発電設備を更新する取り組みも、再生可能エネルギーを拡大させる有効な策になる。全国には同様の設備更新によってパワーアップできる水力発電所が数多くある。電力会社は総合的な水力発電所の更新計画を早急に策定して、国のエネルギー基本計画に反映させるべきである。

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