46年前に運転開始した地熱発電所、九州電力が2019年に増強へ自然エネルギー

九州電力は大分県にある3つの地熱発電所のひとつ「大岳発電所」のリニューアルに乗り出す。46年前の1967年に稼働した古い設備を更新して、発電能力を2500kW増強する。地下の設備は交換せずに済ませ、取り出す地熱量も増やさない方針だ。6年後の2019年に運転開始を見込む。

» 2013年02月26日 07時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 温泉で有名な大分県は地熱による発電量が全国で最も多く、大規模な設備の大半は九州電力が所有している。日本で最大の「八丁原発電所」(出力12万2500kW)をはじめ、「滝上発電所」(2万7500kW)、「大岳発電所」(1万2000kW)が阿蘇山に近い九重町に集まる(図1)。3か所を合わせると小規模な火力発電所に匹敵する能力がある。

図1 九州電力の地熱発電所。出典:九州電力

 このうち最初に運転を開始したのが大岳発電所で、1967年8月に稼働した。地熱発電は最も効率の良い再生可能エネルギーとして将来性があることから、九州電力は老朽化した設備を更新して発電能力を現在よりも2500kW増強する。

図2 大岳発電所。出典:九州電力

 地熱発電所は地上の発電設備(図2)のほかに、地下から高温の蒸気と熱水をくみ上げるための「生産井」、発電後の熱水を地下に戻すための「還元井」で構成する。今回のリニューアルでは生産井と還元井は従来のものを使い続け、地下から取り出す地熱の流体量は増やさない方針だ。

 このため地熱発電で問題になる環境への影響も従来と変わらない見込みである。九州電力は規定に従って経済産業大臣、大分県知事、九重町長の三者に「環境影響評価方法書」を2月25日に送付し、地元の住民向けに説明会も実施する。順調に進めば6年後の2019年には、運転開始から52年ぶりに設備が更新されることになる。

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