小水力発電を宮崎県で開始、九州電力が再生可能エネルギーを加速自然エネルギー

九州電力が再生可能エネルギーを活用した発電設備の増強を積極的に進めている。3月1日には宮崎県にある水力発電用のダムで「小水力発電」を開始した。河川の水量を維持するための放水路を利用した「維持流量発電」によって330kWの電力を新たに供給する。

» 2013年03月05日 07時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 ほかの再生可能エネルギーと比べると目立たないが、用水路などを活用した「小水力発電」が全国各地で増えている。従来の水力発電は大規模なダムを建設するために環境破壊が問題になるが、小水力発電は既存の水路に発電機を設置するもので、自然環境に対する影響が小さいことから再生可能エネルギーのひとつに位置づけられている。

図1 上椎葉ダム。出典:九州電力

 ダムを使った水力発電所を運営する電力会社も最近は小水力発電に乗り出している。その多くは「維持流量発電」と呼ばれるもので、河川の自然環境を維持するためにダムから常に流し続けている水の力を利用する。九州電力は日本初のアーチ式のダムとして1955年に建造した「上椎葉(かみしいば)ダム」(図1)の放水路を使って、3月1日から維持流量発電を開始した。

 維持流量発電に利用する放水路の落差は81メートルあり、放水路に設置した発電設備によって最大で330kWの電力を作ることができる。年間の発電量は約240万kWhを見込んでいて、一般家庭で600世帯分の電力使用量に相当する規模になる。

図2 「上椎葉維持流量発電所」の所在地と同じ流域にある水力発電所。出典:九州電力

 さらに上椎葉ダムの下流にも6か所に水力発電用のダムがある(図2)。九州電力は上椎葉で開始した維持流量発電の状況を見ながら、ほかのダムにも同様の設備を展開していくとみられる。

 九州電力は最近になって地熱、風力、太陽光といった再生可能エネルギーによる発電設備の増強に乗り出している。その中で小水力発電は設備が小規模で済み、しかも気候による影響を受けにくいために安定した発電量を得られる利点がある。

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