NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)がフランスのリヨン市で進めているスマートコミュニティ実証プロジェクトの中で、新たに電気自動車と太陽光発電を連携してカーシェアリングの商用サービスを開始した。30台の電気自動車を太陽光のエネルギーで走らせる試みだ。
フランス第2の都市であるリヨン市の中心部で、30台の電気自動車(EV)を使ったカーシェアリングの実証試験が10月15日から始まった。三菱自動車の「i-MiEV」とPSAプジョーシトロエンのEVを各15台ずつ配備する(図1)。EVに電力を供給するための普通充電器30台に加えて、日本が国際標準に提案しているCHAdeMO(チャデモ)方式の急速充電器も3台設置した。
この実証実験で目指すのは、通常の電力を使わずに、太陽光発電による電力だけで30台のEVを走らせることにある。ガソリン車に比べてCO2排出量が少ないとはいえ、EVが消費する電力を化石燃料による火力発電で供給していては削減効果が小さくなってしまう。太陽光発電だけでEVを運行することができれば、CO2排出量を実質ゼロにすることが可能になる。
そのために必要なエネルギー管理システムを東芝グループが構築した。天気予報から太陽光発電量を予測するシステムや、EVの予約状況をもとに充電スケジュールを最適化するシステムで構成する。さらに地域全体のエネルギー管理システムとも連携することができる。
NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)は2011年から5年間にわたって、リヨン市のスマートコミュニティ実証プロジェクトに協力することで合意している。プロジェクトで取り組むタスクは4つあって、その中の2番目がEVカーシェアリングの実証試験である(図2)。
地元の大手交通サービス会社が2015年12月までカーシェアリングの商用サービスを提供して、EVの利用状況や発電・充電状況などを日本からの参加企業と共同で検証する。サービスの対象になる利用者は企業と個人の両方から募集して、地域ぐるみでカーシェアリングを推進していく計画だ。
日本にとってはCHAdeMO方式の急速充電器を欧州に普及させる狙いもある。すでに米国ではニューヨーク市のタクシー向けに、CHAdeMO方式の急速充電器を使った試験サービスが始まっている。
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