オホーツクの海を望むバイオマス発電所、国内最大規模で2016年に運転開始へ自然エネルギー

北海道の北東部にある紋別港の工業用地に、国内で最大の木質バイオマス発電所を建設することが決まった。近隣の森林から大量に出る残材や間伐材を主要な燃料にして、50MWの発電能力を発揮する。一般家庭で6万世帯が使用する電力を、天候に左右されずに安定して供給することができる。

» 2013年10月25日 09時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 発電所の建設予定地は、オホーツク海に面した紋別港の一角にある(図1)。紋別市が所有している第3埠頭の埋立地に、発電規模が50MW(メガワット)の日本最大の木質バイオマス発電所を建設する計画だ。2014年9月に着工して、約2年後に試運転を開始できる見通しで、営業運転は2016年12月を予定している。

図1 木質バイオマス発電所の建設予定地。出典:紋別市役所

 紋別市は面積の約8割を森林が占めていて、周辺地域も加えると大量の木質資源を長期的に確保することができる。未利用の残材や間伐材などを年間に約22万トン、さらに海外から輸入するパームヤシ殻と石炭を5万トンずつ燃料に利用する。紋別港は重要港湾に指定されていて、原材料の輸入にも適した場所である(図2)。

図2 紋別市と紋別港の位置。出典:紋別市役所

 このバイオマス発電事業は住友林業と住友共同電力が実施する。両社は共同で発電事業のための新会社「紋別バイオマス発電」を設立するほか、燃料用の木質チップを製造する「オホーツクバイオエナジー」を合わせて新設する予定だ。総投資額は約150億円を見込んでいる。

 発電した電力は北海道電力をはじめ地域の電気事業者に供給する。年間の発電量は一般家庭で6万世帯分の使用量を満たせる規模で、2億kWh程度になる想定だ。燃料のうち約3分の2を未利用の木材が占めるため、その比率に相当する電力は固定価格買取制度によって1kWhあたり32円で売電することができる。パームヤシ殻による電力は24円で、両方を合計すると年間に50億円程度の収入になる。

 バイオマス発電は化石燃料の代わりに生物由来の原材料を利用する火力発電である。太陽光や風力のように発電量が天候の影響を受けることはなく、通常の火力発電と同様に常に安定した電力を供給することが可能だ。冬の電力に不安がある北海道においては有効な再生可能エネルギーの利用法になる。

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