昭和シェル石油が神奈川県の川崎市に保有する製油所の跡地を利用して、木質バイオマスを燃料に使う大規模な発電所の建設を決めた。発電能力は49MWに達して、木質バイオマスによる発電所では日本で最大になる。一般家庭で8万3000世帯分に相当する電力供給量を実現させる計画だ。
電力事業を石油と太陽電池に続く第3の柱に位置付ける昭和シェル石油が、東京湾に面した製油所の跡地に日本で最大の木質バイオマス発電所を建設する。川崎市にある旧・京浜製油所の工場跡地で2014年5月に工事を開始して、2015年12月から稼働させる予定だ(図1)。
発電能力は49MW(メガワット)になり、年間の発電量は約3億kWhを想定している。一般家庭で8万3000世帯分に相当する大量の電力を供給することができる。固定価格買取制度では木質バイオマスの買取価格は1kWhあたり32円と決められていて、売電による年間の収入は100億円近くにのぼる見込みだ。
バイオマス発電の燃料には、未利用の木材などを固めた木質ペレットのほかに、パームヤシ殻を使用する。パームヤシ殻は固定価格買取制度で木質バイオマスの燃料として認められているもので、東南アジアなどから安く調達できる。発電所の建設予定地は燃料の海上輸送に向く臨海工業地帯にある(図2)。
木質バイオマスだけを燃料に使用する発電所としては、現時点で「川崎バイオマス発電所」の33MWが最大で、これを大幅に上回る発電規模になる。2つのバイオマス発電所は川崎市内の同じ地域に立地している。近くには昭和シェル石油が東京ガスと共同で運営している大規模な天然ガス火力発電所もある。
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