有機ELを国内投入、フィリップスが2014年2月にLED照明

面自体が発光し、やわらかな光を特徴とする有機EL照明。LED照明とは異なる用途を切り開く可能性がある。フィリップス エレクトロニクス ジャパンは国内の有機EL照明市場に参入し、2014年2月には照明メーカー向けに製品の販売を開始する。

» 2014年01月16日 07時00分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]

 白熱電球や蛍光灯を置き換えるLED照明。だが、全ての照明用途をカバーできるとは限らない。LED照明を補完する候補の1つが、有機EL照明だ。「点」が発光し、鋭く強い光を特徴とするLED照明に対して、「面」で発光し、柔らかな光を放つ*1)。例えば店舗に採用することで高級感を打ち出すことができる。安らぎが必要な場面にも向くだろう。

 有機EL照明で利用する技術は有機ELディスプレイや有機ELテレビと一部共通する。このため、現在は有機EL照明が普及する下地がそろった段階にある。

 フィリップス エレクトロニクス ジャパンは、2013年1月15日、国内の有機EL照明市場に参入することを発表した。2014年2月上旬から照明メーカー向けに「Lumiblade OLED Panel GL350」を発売する。「最終消費者向けの価格は1枚当たり2万円程度を想定している」(同社)。「今回の商品は灯具として完結しており、別途設計の必要はない。照明メーカーに電源の仕様を開示し、電源と組み合わせて消費者に提供する形になる」(同社)。

 図1に製品の外観を示す。パネルの寸法は124.5mm角。発光部分の寸法は103.8mm角。パネルが3mmと薄いため、デザイン製に優れるとした。パネルを支えるハウジング部分の色は図1のようにブラックのものの他、シルバーのものがあり、ハウジングを付けないものも販売する。

図1 有機EL照明「Lumiblade OLED Panel GL350」 出典:フィリップス エレクトロニクス ジャパン

 照明の色温度は3200Kであり、「電球色」で白く光る。色再現性を示す平均演色評価数(Ra)の値は80。一般的なLED照明と同程度だといえる。調光機能を備えており、全光束の値を0%から100%まで変更可能だ。

 出荷時に内部配線を変更することで、用途に応じて2種類の仕様を選択できるようにした。全光束が120lm(ルーメン)の場合を通常時と呼び、最大光度が4000cd/m2、消費電力は2.85W、平均寿命は1万5000時間である。寿命は光束維持率が70%を切る時点とした。

 より強い光が必要な場合を高出力時と呼び、全光束を200lmとする。この場合、最大光度は6500cd/m2。消費電力は4.75W、平均寿命は1万時間である*2)

 同社は2009年から欧州市場をはじめ、東南アジア市場などで有機EL照明を販売している。「欧州市場では照明文化が成熟している。モノを照らすというよりも、暮らしを豊かにするために照明を使っている。当社の有機EL照明では例えば、店舗デザインに用いたり、役員室の明かりに採用したりする用途が開けている」(同社)。

*1) 平面状の発光素子の全ての部分が同じ明るさで光るため、LED照明で必要な拡散板や導光板などは不要だ。発熱部分が集中することもない。LED照明と同様に応答時間は非常に短く、紫外線を発生しない。
*2)いずれの場合も電源電圧は9.5V。120lm時の電流は300mA、200lm時は500mA。

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