フィリップス エレクトロニクス ジャパンは、LED照明が十分普及していない未開拓市場を狙う。中小企業や工場、倉庫などだ。この市場で求められることは何か。同社は初期導入コストと投資回収期間、光の品質の3つが重要だとした。これをかなえるのが2013年9月に発売した新製品「Essential LEDtube」である。価格は1本3000〜3500円だ。
フィリップス エレクトロニクス ジャパンは、低コスト、高品質をうたう直管形LED「Essential LEDtube」を国内市場向けに製品化し、2013年9月に販売を開始した。市場推定販売価格は40Wの蛍光灯(1200mm)に相当する製品で、1本当たり3000〜3500円であり、これは他社製品の半額だという。低価格であるため、2年で投資を回収できるとした。
安いだけではない。さまざまな色の再現性(演色性)を示す指標であるRa値が最高85であり、これは業界最高レベルであるという。LEDを覆う拡散カバーを工夫したため、LEDのぎらつき(グレア)や粒状感もなく、均質な光を放出できるとした。
Essential LEDtubeは、同社が新規市場を狙うための矢だ。同社はLED市場が3つのセグメントに分かれると考えている。それぞれのセグメントで求められる要求は異なる。市場規模が大きい「Good Enough」セグメントはLEDの浸透率が17%と低い*1)。ここを狙う。具体的には中小企業や工場、倉庫などが該当するセグメントだ。商業施設や店舗、住宅、大規模オフィス、屋外などは含まない。
Good Enoughセグメントを狙い、日本市場で2014年8月までに50万本を販売することを目標として掲げた。同社は世界市場では2013年1月から同製品の販売を開始しており、約半年で100万本以上を販売したという。日本市場はLEDへの導入意欲が高いが、50万本という数は容易には達成できないだろう。
このセグメントを開拓するには幾つかの条件がある。初期導入コストが低いこと、投資回収期間が短いこと、コストに見合う品質があること、安全性だ。
*1) 図2にあるGMS(総合スーパー)のLED浸透率は68%であり、2012年までにLEDの導入がほぼ完了したセグメント、飲食・物販店舗、一般オフィスセグメントは浸透率が40%だが、2013年中にほぼ完了するセグメントだと位置付けた。
図3では直管形LEDを中心とするLED製品と市場の要求を2つの軸で表現した。投資期間の長短と光の質の高低だ。今回のEssential LEDtubeは投資期間が最も短く、光の質は比較的高い位置にあることが分かる。
Essensial LEDtubeは蛍光灯と同じG13口金を使う。管の内部に電源を備えているため、器具(灯具)側の工事が最小限で済む。低い市場推定販売価格と併せて、初期導入コストの要求を満たす。管の直径は蛍光灯と同じ(T8管)であるため、外形寸法の問題から器具が使えないということもないという。
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