ニュース
» 2014年03月04日 07時00分 UPDATE

自然エネルギー:スマホを30回充電できるマグネシウム電池、太陽炉の実証実験も始まる (1/2)

スマートフォンを30回充電できるマグネシウム空気電池を古河電池が開発した。何年でも放置しておくことができ、川の水や海水を注入するだけで発電が始まる。ニコンは利用後のマグネシウム化合物を金属に戻す太陽炉の実証実験を開始する。

[畑陽一郎,スマートジャパン]

 マグネシウムを使った燃料電池が注目を集めている。一つは非常用に役立つ電池として、もう一つはエネルギーの輸送媒体としてだ。

 古河電池は凸版印刷と共同開発した「非常用マグネシウム空気電池 MgBOX」を東京で開催された「第5回国際二次電池展(スマートエネルギーWeek2014)」(2014年2月26〜28日)に出展、実際に照明を点灯させるデモを見せた(製品化について触れた続報記事はこちら)。

 非常時にもすぐに利用でき、大容量であることが特徴だ。容器に注水するだけで最大5日間動作し、300Whの電力量を取り出せる。会場では、スマートフォンを最大30回充電できることをうたっていた。USB端子を2個備えており、機器に5V、1.2Aの電力を供給できる。

 図1に示した「本体」はほぼ立方体であり、寸法は233×226×226mm。重量は注水前(保管時)で1.6kgである。

yh20140304Mg_box_590px.jpg 図1 非常用マグネシウム空気電池 MgBOX

 「当社も東日本大震災の際、携帯通信に必要な電力が得られないという経験をした。マグネシウム空気電池は、注水しなければ長期間、利用可能状態のまま保存できるため、災害時に慌てなくとも済む。注水する水は淡水でも海水でもよく、雨水や河川水、池の水などそのままでは飲用に適さない水でも発電できる。非常時でも手に入りやすい500ml入りのPETボトルで4回注水すればよいように設計した」(古河電池)。

 洗剤など界面活性剤が入った水やアルコール含む水以外は利用できる。実験によれば尿でも発電できるのだという。

再利用はできない

 開発したマグネシウム空気電池の動作原理を図2に示した。金属マグネシウムに水を加えると、水酸化マグネシウムに変わる性質を利用、その際に電子を取り出して、外部に供給する。生成する水酸化マグネシウムは食品添加物としても利用される比較的安全な物質だ。

yh20140304Mg_reaction_400px.jpg 図2 マグネシム空気電池の動作原理。古河電池の展示資料を撮影

 このような仕組みを採っているため、リチウムイオン蓄電池のように充電することはできない。いったん水を入れたら使い切る電池だ。

 「今回は参考出品という形で展示した。技術的には完成しているが、製品化の時期は未定である」(古河電池)。

 古河電池は、東北大学の元教授である小濱泰昭氏とマグネシウム燃料電池に関して協力関係にある(関連記事「マグネシウムが変えるか、日本のエネルギー問題」)。小濱氏のマグネシウム電池はカルシウムを添加することで性能を高めている。ただし「今回のマグネシウム空気電池では特許を理由として、小濱氏のマグネシウムではなく、市販のマグネシウム合金を利用した」(古河電池)。

       1|2 次のページへ

Copyright© 2016 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.