水で発電「マグボックス」、非常時のケータイ充電30回蓄電・発電機器(1/2 ページ)

古河電池と凸版印刷は水を注入するだけで電気を生み出す電池「マグボックス」を開発し、2014年12月に販売を開始する。あらかじめ充電しておかなくても、水を2L用意するだけで利用できるため、非常用に向くという。

» 2014年08月29日 18時50分 公開
[畑陽一郎スマートジャパン]

 古河電池と凸版印刷は2014年8月、水を注入するだけで電池として機能する「非常用Mg空気電池 『マグボックス』」を開発し、2014年12月に販売を開始すると発表した(図1)。当初は地方自治体向けに販売する。

図1 マグボックスの外観。古河電池が2014年2月に展示したもの。デザインは製品と変わらない

 マグボックスは蓄電池ではなく、使い切りの一次電池だ。マグボックスを使うためには、水や海水を入れたペットボトル1本を用意する。マグボックスに同梱されている注水用治具(ノズル)をペットボトルのキャップの位置にはめる。マグボックスの上蓋を開けると、注水口が4つ見えるので、順に注水していく。注水量は合計2Lだ。注水後約3分で十分な電力に達するという。

 マグボックスの電池セルからはケーブルが伸びており、これをUSBボックス(約12cm×約6cm×約2.5cm)に接続し、上蓋を閉じる。以降、マグボックスを開ける必要はない。USBボックスにはUSB端子が2つ備わっており、スマートフォンを最大30回充電可能な電気を生み出す。電池の「容量」は300Wh、5V出力で1.2Aの電流を取り出すことが可能。ほぼ全てのスマートフォンやタブレット端末に対応する。

 USBボックスには発電をオンオフするためのリセットスイッチが備わっており、最大5日間、断続的に電力を取り出すことができる。水を注入後、一気にマグボックスを使い終わらなくてもすむ工夫だ。

 以上のような仕組みをとった理由は、災害時に必要な電源を確保するという目的があったからだ。古河電池は福島県いわき市に事業所を置いており、東日本大震災による停電時に個人の通信機器が使えなくなる状況を目の当たりにした。そこで、「あらかじめ充電しておかなくても、いざというときにどこでもすぐに利用でき、長期間保存できる電池」を目指した。これがマグボックスである。

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