日米企業の協力で水素ステーションを建設、1日200回利用の実績も電気自動車

日鉄住金パイプライン&エンジニアリングと米Air Productsは日本国内の水素ステーションのシェア3割を狙い、共同で建設事業に当たる。Air Productsの水素ステーションは全世界160カ所の実績があり、使用頻度の高いステーションは1日200回の充填実績がある。

» 2014年03月05日 16時00分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]

 水素で走行する燃料電池車の量産は2015年に始まる。水素のいわば「ガソリンスタンド」が必要だ。2015年までに国内に100カ所の水素ステーションを設置する計画が動いており、2025年までには1000カ所に拡大する。

 既に複数の国内企業が4大都市圏を中心に水素ステーションの設置を始めており、今後も参入企業が増えそうだ。

 日米の企業が協力して当たる動きも現れた。日鉄住金パイプライン&エンジニアリングと米Air Productsは、2014年2月、日本国内における水素ステーション建設事業に共同で取り組む内容の覚書を締結。「水素ステーション建設に関して互いに排他的な関係である。2014年度は複数の施設受注*1)を狙い、将来はメジャープレーヤーとなるため、国内シェアの3割を狙っている」(日鉄住金パイプライン&エンジニアリング)。

*1) 2013年度から水素ステーション建設に対し、経済産業省が最大2分の1の補助金支給を開始した。両社は水素ステーションの運営には携わらない。顧客となる石油会社やガス会社が担う。

 Air Productは既に米国を中心に世界20カ国、160カ所に「SmartFuel水素ステーション」を供給した実績がある(図1)。160カ所を合計すると年間約85万回の充填(給油に相当する)の実績がある。最も利用頻度が高い水素ステーションは年間7万5000回、1日当たりに換算すると200回以上だ。図1に示した水素ステーションはペンシルベニア州アレンタウン市で運用されているもの。

図1 SmartFuel水素ステーションの一例 出典:日鉄住金パイプライン&エンジニアリング

 Air Productsの水素ステーションはモジュール化されており、用途や規模に応じて拡張が可能だという*2)。水素燃料を充填する際の世界標準のプロトコルであるSAE J2601に適合しており、水素を70MPa(メガパスカル)で充填可能だ。国内の自動車各社が計画する燃料電池車の充填圧力と一致している。

*2) 水素ステーションで供給する水素の導入手法として、パイプラインとタンクローリーを選択できる。

 「日本は水素に対する安全規制が北米とは異なる。Air Productsの部材をそのまま組み立てるだけでは認可されない。そこで国内の安全規制に適合するよう部材の改造なども共同で進めていく」(日鉄住金パイプライン&エンジニアリング)。日鉄住金パイプライン&エンジニアリングは2005年に開催された愛知万博において水素ステーションの建設実績*3)がある。各種のパイプライン分野や天然ガス、LNGなどのエネルギープラント分野の実績やノウハウと合わせて、水素ステーションに取り組んでいく。

*3) 愛・地球博水素ステーション/瀬戸北(愛知県瀬戸市、2005年3〜9月運用)を建設した。当時の新日本製鉄名古屋製鉄場から発生するコークス炉ガスを原料とし、精製後の副生水素をトレーラーで運び込むオフサイト型のステーションである。

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