テナントビルは省エネ性能で選ぶ、東京都は7段階で表示エネルギー管理

これまでビルの省エネ対策に無関心だったテナント企業も、東京都内では考え方を変えなくてはならない。入居するビルの省エネ性能が7段階で評価されるようになる。延床面積が1000〜2万平方メートルのオフィスビルや商業施設を対象に2014年6月から実施する。

» 2014年03月10日 13時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]
図1 「カーボンレポート」のサンプル。出典:東京都環境局

 東京都では大都市の地球温暖化対策を強化する目的で、中小規模の事業者に対しても年間のエネルギー使用量の報告を義務づけている。新たに2014年度から、この報告内容をもとにテナントビルの省エネ性能を7段階で評価して、「カーボンレポート」にレベルを記載して提供する(図1)。

 7段階のレベルは東京都内のテナントビルの実績をもとに、年間のCO2排出量が平均値を下回ればA評価(A1〜A4の4段階)、上回るとB評価(B1〜B2の2段階)かC評価になる。この評価を見ればテナントビルの入居企業はビルの省エネ性能を簡単に判断することができる。

 東京都内に事業所がある企業は、年間に使用するエネルギー(電気、ガス、燃料など)の合計が原油換算で3000キロリットル以上になった場合には、事業所ごとの省エネ対策を記載した報告書を提出する義務がある。今後は事業所が入居するテナントビルの省エネ性能も問われることになり、テナントビルを厳しく選別する必要が生じる。

 評価対象のテナントビルはオフィス系と商業複合系の2種類に分けたうえで、さらに延床面積によって3つの区分に分かれる(図2)。それぞれの区分ごとに年間のCO2排出量の平均値を設定して、7段階のレベルを決める。

図2 テナントビルの区分と年間CO2排出量の平均値。出典:東京都環境局

 東京都内の中規模オフィスビル(延床面積3000〜1万平方メートル)では、2012年度の実績でB評価が35%、最低のC評価も9%ある(図3)。B評価やC評価を受けたビルのオーナーは早急に省エネ対策を実施して改善を図らないと、入居企業が離脱する可能性が高まり、新たな入居者も獲得しにくくなる。

図3 中規模オフィスビル(延床面積3000〜1万平方メートル)の省エネレベル(「割合」は2012年度の実績による)。出典:東京都環境局

 これまでテナントビルに入居する企業の多くは、ビル全体の省エネに対する意識は高くなかった。今後はCSR(社会的責任)の観点でも入居するビルの省エネ性能に注意を払う必要が出てくる。省エネ性能が高いビルに入居すれば、電力やガスの消費量が少なくなる。テナント企業にとっては電気料金やガス料金を削減できる効果もある。

 東京都では2014年6月からカーボンレポートの提供を開始する予定だ。合わせて説明会を実施して新制度の詳細を告知するほか、カーボンレポートの利用ガイドラインを策定して公表する。

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