太陽光発電の買取価格が4円も減額に、洋上風力より低く法制度・規制(1/2 ページ)

固定価格買取制度の2014年度の買取価格が大筋で決まった。注目の太陽光発電は住宅用を1kWhあたり1円の減額にとどめる一方、非住宅用は設備利用率を12%から13%に見直したことで36円から32円へ4円も引き下げる。新設する洋上風力の買取価格は36円になり、太陽光より高くなる。

» 2014年03月11日 15時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 毎年度の買取価格(電力会社から見ると調達価格)を検討する政府の「調達価格等算定委員会」が2014年度の最終案をまとめた。変更点は3つある。第1に太陽光発電の買取価格をさらに安くして、住宅用は1kWhあたり38円から37円へ(税抜き、以下同)、非住宅用は36円から32円へ引き下げる(図1)。

図1 太陽光発電の買取価格の変更案。出典:資源エネルギー庁

非住宅用は設備利用率の変更で4円も減額

 太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーの買取価格は、4つの指標を重視して決めることになっている。建設にかかる「資本費」、発電設備を運営するための「運転維持費」、年間の発電効率を示す「設備利用率」、発電事業のリスクをもとに適正な利益率を設定した「IRR(内部収益率)」である。

 資源エネルギー庁によると、太陽光発電の資本費と運転維持費は年々低下している。住宅用では資本費に相当する発電システムの費用が1年間に約1割のペースで下がった(図2)。本来ならば2014年度の買取価格は現行の38円から4円安くなって34円になるところだが、国の補助金が2014年度から廃止されるために、その点を考慮して1円の減額にとどめた。

図2 住宅用の太陽光発電システムの導入費用(画像をクリックすると拡大)。出典:資源エネルギー庁(太陽光発電協会の集計による)

 これに対して非住宅用の太陽光発電では資本費の低下はわずかだった。ただし年間の発電量を表す設備利用率が従来想定していた12%よりも高くなっていることがわかり、2014年度から13%へ引き上げる。この結果、非住宅用の買取価格は36円から32円へ、2年連続で4円の大幅な値下げになる。

 太陽光発電の設備利用率は日射量に左右される。地域によっては12%を下回ることも珍しくなく、発電事業者は用地の選定を厳しくする必要がある。全国の自治体が太陽光発電の拡大計画を推進中だが、設備利用率の見直しによって影響を受ける地域が出てきそうだ。

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