コープが握る電力の主導権、国の制度の上を行く電力供給サービス

生活協同組合コープさっぽろは、電力取引やエネルギーマネジメントなどのサービスを提供するエナリスと共同で、再生可能エネルギーの地産地消を進める事業を進めていく。固定価格買取制度(FIT)に付加価値を加えて、太陽光発電所などから直接電力を購入し、売電するというものだ。

» 2014年03月11日 07時00分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]

 太陽光発電所の電力を独自に買い取って、生活協同組合の店舗に送電する取り組みが北海道で始まる。再生可能エネルギーを地産地消する取り組みの1つだ。

 電力を受け取るのは生活協同組合コープさっぽろ。「BEMS(ビルエネルギー管理システム)を用いて複数の店舗の電力の使用状況を監視する。それに見合うように電力を購入することができるため、メリットがある。2014年5月ごろから導入を開始する予定だ」(コープさっぽろ)。コープさっぽろは道内各地に108店舗を展開している。

図1 電力の流れと各企業の役割 出典:エナリス

 今回の枠組みを図1に示した。発電所から再生可能エネルギーを購入するのは2社。電力取引やエネルギーマネジメントなどのサービスを提供するエナリスと、コープさっぽろの100%子会社であるエネコープだ。

 「一需要地一契約の原則に従うと、ある店舗に対して、ピーク電力を満たす契約が必要になる。ここで、複数の店舗をまとめると、ピークの大きさが単純な合算よりも減る。これによって、電力料金の総額を引き下げることができる。ちょうど、マンションに導入が住んでいる高圧一括受電と似た考え方だ」(エナリス)。

FITの買取価格より高く購入

 エナリスの電力調達先は、北海道内の再生可能エネルギー発電事業者だ。このとき、固定価格買取制度(FIT)で定められた買取価格よりも高額で買い取ることが特徴。環境価値を評価したプレミアム価格なのだという。「複数店舗への供給を合算することで生まれた差額の一部を買い取りに回す形だ」(エナリス)。コープさっぽろによれば、1円程度、FITに上乗せされる見込みだという。

図2 帯広市の発電所と札幌の位置

 エナリスは2014年3月にコープさっぽろとの協業を発表。店舗に電力を供給する今回の取り組みは、第1号案件だとした。第1号案件では、電力調達先はエネコープが所有する2カ所のメガソーラーである(図2)。

 2013年3月から発電を開始した「コープ・市民ソーラーとかち南町発電所」(帯広市南町、出力1.21MW)と「コープ・市民ソーラーとかち川西発電所」(帯広市川西、同0.75MW)が供給元となる。想定年間発電量は計画時に合計で約217万kWhとしていたものの、2013年3月から2014年1月の10カ月で228万kWh以上に達しており、設置環境のよいメガソーラーだといえる。

【訂正】 記事の掲載当初、要約で「固定価格買取制度(FIT)を利用せず」としておりましたが、これは「固定価格買取制度(FIT)に付加価値を加えて」の誤りでした。お詫びして訂正いたします。上記記事はすでに訂正済みです。(2014年3月11日)

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