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» 2014年03月26日 07時00分 UPDATE

自然エネルギー:温泉熱+LED照明+太陽光発電で、エゴマを栽培する植物工場が完成

富山市は高齢化と過疎化が進む地域に、自然エネルギーを活用した植物工場を建設した。温泉熱とLED照明を利用して、薬用植物の「エゴマ」を工場の中で効率的に栽培することができる。工場の屋根には太陽光パネルを設置してLED照明用の電力を供給する。

[石田雅也,スマートジャパン]

 スキー場で知られる富山市の牛岳(うしだけ)温泉に、完全密閉型の植物工場が3月29日に完成する(図1)。工場の中で薬用植物の「エゴマ」を栽培して、地域の特産物として販売する計画だ。1次産業の生産に加えて、2次産業の加工から3次産業の流通まで展開する「農業の6次産業化プロジェクト」に位置づけて、地域の活性化を図る。

toyama1_sj.jpg 図1 植物工場の外観とエゴマの栽培イメージ。出典:フィリップス エレクトロニクス ジャパン

 エゴマはシソ科の1年草で、通常は春に種をまいて秋に刈り取る。植物工場では地元の温泉熱を使って室内の温度を調整しながら、植物の育成に適した遠赤色のLED照明を当てて、季節や天候に関係なくエゴマを栽培することができる。約800平方メートルの栽培面積で年間に20万株を収穫する予定だ。

toyama2_sj.jpg 図2 植物育成用のLED照明モジュール。出典:フィリップス エレクトロニクス ジャパン

 LED照明を納入したフィリップス エレクトロニクス ジャパンによると、遠赤色を含むLED照明(図2)を使うことで、20%程度の収穫量の増加あるいは収穫期間の短縮が可能になる。エゴマの光合成に必要な光束密度を確保できることも確認済みである。

 工場内の冷暖房用に、温泉水を利用するヒートポンプ方式の設備を導入した。さらにLED照明用の電力の一部は、屋根に設置した両面受光型の太陽光パネル(出力は約15kW)から供給する。採用したLED照明は通常の蛍光灯と比べて消費電力が最大55%少なくて済む。

 この植物工場は富山市が「6次産業化(農商工連携)による環境と健康をテーマとした多様なビジネスの推進」を目的に実施するもので、新たな雇用と産業の創出につなげる狙いがある。牛岳温泉がある地域では高齢化・過疎化が進んでいる。植物工場で高齢者を雇用するほか、エゴマを使った健康食品などを開発して全国に流通させる計画だ(図3)。

toyama3_sj.jpg 図3 植物工場の事業効果。出典:富山市役所

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