火力は0.9%増、原子力は41.6%減、縮む電力会社10社の発電量電力供給サービス

電力会社10社による2013年度の発電・受電量は前年度から0.1%減少した。電源の種別では火力が0.9%の微増にとどまり、原子力が稼働しない状況でもほとんど増えていない。原子力は41.6%減、夜間電力を利用する揚水発電も21.2%減で、従来の電源構成は大きく変容している。

» 2014年04月16日 15時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 電力会社が供給する電力には、自社の発電設備のほかに、他社の発電設備から受電したものがある。両方を合わせた「発受電電力量」の2013年度の実績がまとまった。電力会社10社を合計した発受電電力量は前年度から0.1%減の9229億kWhで、3年連続の減少になった(図1)。

図1 電力会社10社による2013年度の発受電電力量。出典:電気事業連合会

 電源別に見ると、水力が3.2%増、火力が0.9%増で前年を上回った。それ以外の電源では原子力が41.6%と大幅に減ったほか、夜間の余剰電力を利用して昼間に水力で発電する「揚水動力」も21.2%の減少だった。さらに太陽光などの新エネルギーによる発電量も1.0%減少していて、電力会社が再生可能エネルギーの発電設備を拡大していない状況が見てとれる。

 火力は全体の73%を占めたが、増加傾向は収まってきた。ただし使用する燃料は大きく変化している。特に石炭の伸びが著しく、電力会社10社が消費した量は前年度から19%も増えた(図2)。これに対してLNG(液化天然ガス)の消費量は微増で、重油・石油の消費量が18%も減った。過去1年間に価格の高い重油・石油から安い石炭へ急速にシフトしたことがわかる。

図2 電力会社10社の2013年度と2012年度の燃料受入・消費量(電気事業連合会の発表資料をもとに作成)

 2014年度も同様の傾向が続くことは確実だ。電力会社の発電量はさらに減って、火力では重油・石油から石炭・LNGへ燃料の移行が進んでいく。原子力は2013年度には関西電力の大飯発電所だけが稼働したが、2014年度は九州電力の川内原子力発電所が稼働する見通しになっている。おそらく2013年度よりも原子力の発電量は増える。それでも2012年度を超えることはないだろう。

 電力会社の発受電電力量は発電・受電設備から送り出される時点の電力量で、実際に顧客に販売する電力量よりも多い。2012年度の実績では発受電電力量が9236億kWhだったのに対して、販売電力量は8516億kWhと約8%少なくなる。2013年度の販売電力量は4月18日に電気事業連合会から速報値が発表される予定だ。

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