冬の予備率は最低でも5.3%を確保、原子力なしで電力の安定供給が続くエネルギー管理(1/2 ページ)

政府の委員会がまとめた今冬の電力需給状況によると、需要に対する供給力の予備率は5.3%が最低で、9つの地域すべてで電力不足の心配が生じる3.0%を大幅に上回った。企業と家庭の節電が進んで需要が減る一方、水力などの再生可能エネルギーによる供給力が想定を超えた。

» 2014年04月03日 15時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 もはや電力不足の問題を理由に原子力の再稼働を議論する必要はなくなったと考えてよい。原子力発電所が1カ所も稼働していない状況で、今冬の全国各地の需給状況は安定していた。地域別に見ると、12月〜2月のあいだに最大需要を記録した日の予備率は中部の5.3%が最も低く、次いで東京の5.9%である(図1)。

図1 2013年度冬季(12月〜2月)の電力需給状況(画像をクリックすると拡大)。出典:電力需給検証小委員会

 全国で唯一の節電目標6%以上が設定された北海道では、予備率が11.5%と十分過ぎるほど確保できた。さらに事前の見通しでは電力不足の可能性がある3%台の予備率を予測していた関西と九州は6.7%と8.0%の余裕で、原子力がなくても問題なく需要に対応できることを証明した。

 これほど余裕のある需給状況になった最大の要因は、節電効果の拡大だ。震災前の2010年度と比較して2.1〜9.0%の需要が減っている(図2)。減少率が最も小さい中部では産業用の需要が2010年度よりも1%増えて、自動車産業を中心に生産量の拡大による電力需要の増加が例外的に発生した。

図2 用途別の需要減少率(画像をクリックすると拡大)。出典:電力需給検証小委員会

 オフィスや商業施設などで使われる業務用の需要は東京の減少率が13%と最も大きかった。232万kWにのぼる電力を低減できたことになり、企業の節電対策の効果が顕著に表れている。東京は家庭を含む全体でも9.0%にあたる427万kWの需要を減らした。

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