2020年に電力需要の20%へ、発電コストの低下がカギ再生可能エネルギーの未来予測(1)(1/2 ページ)

これから再生可能エネルギーをどのくらい拡大できるかによって、日本の電力事情は大きく変わってくる。固定価格買取制度の認定設備が現在のペースで稼働していけば、2012年に電力販売量の10%に過ぎなかった再生可能エネルギーは2020年に20%、2030年には30%を超える。

» 2014年03月06日 13時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 2012年7月に始まった固定価格買取制度によって、再生可能エネルギーによる電力が急速に拡大している。過去10年間の平均伸び率が1割前後だったのと比べると、状況は一変した(図1)。この制度が有効に機能する限り、国内の電力に占める再生可能エネルギーの比率が30%を超える日も遠い未来ではない。

図1 再生可能エネルギーによる発電量(水力を含まず)。出典:NEDO(資源エネルギー庁の資料をもとに作成)

2020年までに欧州の先進国と肩を並べる

 資源エネルギー庁の集計によると、再生可能エネルギーの比率は2012年度に10%に達した。ただし水力が8.4%を占めていて、そのほかの再生可能エネルギーは1.6%に過ぎなかった。固定価格買取制度が始まって以降は太陽光を中心に発電設備が増加して、再生可能エネルギーの比率は着実に上昇している。

 2013年度に入って運転を開始した発電設備は4〜11月の8カ月間で468万kWにのぼった(図2)。年間の発電量に換算すると80億kWhを超える勢いで増えていて、これだけで国内の電力販売量(2012年度で8516億kWh)の約1%に相当する。

図2 再生可能エネルギーの導入状況(2013年11月末時点)。出典:資源エネルギー庁

 今後も同じペースで再生可能エネルギーが増えていくと、2012年度の10%から2020年度には18%へ、さらに2030年度には28%まで比率が高まる。しかも電気機器の消費電力がどんどん少なくなって、国全体の電力需要は減っていくことから、再生可能エネルギーの比率はもっと高くなる。

 ヨーロッパの先進国では早くから買取制度を実施したスペイン(1994年に開始)やドイツ(2000年に開始)で再生可能エネルギーの比率が20%を超えている。国土の広さや自然環境の違いなどがあるものの、10年後の日本で20%以上の比率まで高めることは十分に可能だ。

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