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» 2014年04月18日 15時00分 UPDATE

電力供給サービス:今夏の予備率も3.0%、関西と九州の電力需給見通し

夏の電力需給の見通しがまとまり、関西と九州では停電の危険がある予備率3.0%まで下がる予測になった。相変わらず需要を過大に見積もる手法を使って、原子力発電の必要性を訴える狙いがあるようだ。前年の実績値をもとに現実的に考えれば、今年の夏も電力不足の心配はない。

[石田雅也,スマートジャパン]

 政府の委員会による夏の電力需給見通しの中で、関西と九州は前年に続いて予備率が3.0%まで下がる結果になった。しかも遠く離れた東京電力から融通を受けることが前提である。融通を受けられない場合には関西が1.8%、九州は1.3%まで予備率が下がってしまう(図1)。

demand2014summer3_sj.jpg 図1 2014年夏の需給見通し(画像をクリックすると拡大)。出典:電力需給検証小委員会

 1日の最大需要に対する供給力の余裕を表す予備率は、3%以上を維持しないと停電の可能性がある。電力会社が守るべき最低ラインであり、本来は極めて深刻な事態だが、政府にも電力会社にも危機感は見られない。それほど低い予備率にならないことは前年の実績が示しているからだ。

 2013年の夏も関西と九州は予備率3.0%を予測していたが、実際には最低でも4.3%に収まった(図2)。両地域ともに最高気温が36度を超える猛暑を記録したにもかかわらずだ。関西では最大需要が予測を下回り、九州では供給力が予測を上回った。

demand2014summer4_sj.jpg 図2 2013年夏の需給実績と事前見通し(画像をクリックすると拡大)。出典:電力需給検証小委員会

 それでも2014年の夏の予備率を再び3.0%と予測したのは、厳しい需給状況を訴え続けることによって、原子力発電の必要性を周知させるためだろう。前年の需給見通しも同様で、あえて予備率が低くなるように最大需要と供給力を決めているふしがある。

 そもそも需要を予測する手法が現実的ではない。相変わらず震災前の2010年の実績をもとに推定している。4年前の最大需要に対して気温と経済の影響を加味したうえで、定着した節電効果を差し引く計算方法である(図3)。

demand2014summer2_sj.jpg 図3 2014年夏の最大需要の推定方法(画像をクリックすると拡大)。出典:電力需給検証小委員会

 節電効果は企業や家庭を対象にした事前のアンケート調査の結果から節電の継続率を推定して、前年の実績に掛け合わせて計算している(図4)。このため実際の節電効果はもっと大きくなる。例えば関西の場合、2013年の節電実績は324万kWにのぼったが、2014年の見込みに反映したのは263万kWである。実に61万kWの差があり、これだけで予備率は2%も変動する。

demand2014summer1_sj.jpg 図4 節電効果の実績と見込み(画像をクリックすると拡大)。出典:電力需給検証小委員会

 結局のところ、今夏の需給状況が委員会の見通しほど厳しくなることはないだろう。猛暑になっても前年並みの需要に収まって、関西と九州は東京からの融通を受けなくて済む可能性さえある。

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