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» 2014年06月06日 15時00分 UPDATE

電力供給サービス:ネット予約のデータから電力の需給を予測、「同時同量」の支援システムを楽天が開発へ

小売全面自由化に向けてエネルギー事業を拡大する楽天が、旅館やホテルの宿泊予約データをもとに電力の需給状況を予測するシステムの開発に乗り出した。新電力の大きな課題になっている顧客側の需要に供給量を一致させる「同時同量」を計画的に実施できるようにする狙いだ。

[石田雅也,スマートジャパン]

 楽天は2013年12月から「電力マネジメントサービス」を開始して、宿泊予約サービスの顧客である旅館やホテルを中心に電力の調達事業を展開している(図1)。電力会社と新電力を組み合わせることで電気料金を削減するサービスである。新電力の事業拡大と顧客側の需要抑制を促進するために、パートナー企業と共同で需給予測システムを開発することにした。

raukten1_sj.jpg 図1 「電力マネジメントサービス」の概要。出典:楽天

 これまでに実施してきたサービスの結果から、宿泊施設の稼働率とエネルギーの利用状況には強い相関関係が明らかになっている。新たに開発するシステムでは、前日までの宿泊予約データと当日のキャンセル情報をもとに、30分単位の電力需要を高い精度で予測できるようにする計画だ。

 顧客側の需要を正確に予測できると、それに合わせて新電力は供給量を調整しやすくなるメリットがある。電力の小売事業者には需要と供給量を30分単位で一致させる「同時同量」が義務づけられている。需給ギャップが3%以上になった場合には、電力会社にペナルティー料金を払って調整してもらう必要があり、新電力にとっては事業を拡大するうえで障壁になっている。

 現在は実際の需給状況に合わせた「実同時同量」を義務づけられているが、小売全面自由化に伴って「計画値同時同量」が認められる方向だ(図2)。新電力は需要計画と発電計画をもとに同時同量を実施すれば、電力会社にペナルティー料金を払わなくてよくなる。そのためには高い精度で需要を予測する必要があり、楽天が開発するシステムが効果を発揮することになる。

balancing1_sj.jpg 図2 「同時同量」の実現方法。出典:資源エネルギー庁

 計画値同時同量になると、小売事業者だけではなくて発電事業者にもメリットが生まれる。実同時同量の場合には直前まで供給量を確保する必要があったが、今後は計画値をもとに余剰分があれば、卸市場で電力を販売することが可能になる(図3)。

balancing2_sj.jpg 図3 「計画値同時同量」を実施する事業者の役割。出典:資源エネルギー庁

 楽天は計画値同時同量を支援する需給予測システムを構築することによって、新電力に加えて発電事業者の参入拡大も促す。特に再生可能エネルギーの発電事業者を対象にしたサービスを強化していく。それと並行してゴルフ場や結婚式場にも予約データを活用した需給予測システムを展開する。既存のネット予約サービスと新しいエネルギー事業の相乗効果を高める狙いだ。

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