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» 2014年06月25日 09時00分 UPDATE

小寺信良のEnergy Future:実はメガソーラーよりも強力? 小規模バイナリー発電 (1/3)

再生可能エネルギーを中心に次世代エネルギーを探る小寺信良氏の連載。今回は「バイナリー発電」の強みと弱みを取り上げた。あるバイナリー発電機の実例を取り上げ、どのようなコストが掛かるのか、適した用途は何かを解説する。

[小寺信良,スマートジャパン]

未来を左右する次世代エネルギー

 エネルギー分野の素人である筆者が、なぜ再生可能エネルギーに興味を持つことになったのか。それは、2011年3月に起こった東日本大震災がきっかけである。

 多くの友人が福島へボランティアのために出発する中、筆者は家族の都合でどうしても家を空けるわけにはいかなかった。そのじくじたる思いの中で、東京に居ながら理系のモノカキとして何かできることがあるのではないかと考えたのが、次世代エネルギーの最先端を把握し、方向性を見極めることであった。

 幸いにして東京近郊には開発メーカーが多く、情報も集まりやすい。今すぐは正しくないかもしれないが、未来にとって正しい方向は必ず見えてくるはずだ。取材を重ねて分かってきたのは、次世代エネルギーの研究者・開発者もまた、皆同じ方向を向いているという事である。前回の連載*1)でやり残したことを拾いながら、また少しずつ前に進めて行ければと思っている。

*1) 筆者は「MONOist」上で「小寺信良のEnergy Future」を連載、24回を数えた(一覧ページはこちら)。今回からはここスマートジャパンで、連載を続けていく。

バイナリー発電は何に役立つ?

 2014年5月27日から30日まで、東京ビッグサイトで「2014NEW環境展」が開催された。このイベントに合わせて、小型バイナリー発電大手の米Access Energyと、日本で販売を担当する第一実業が記者発表会を開いた。連載初回は、過去の連載で積み残した技術の1つ、小規模地熱発電向けとして注目を集めるバイナリー発電について取材してみた。

 バイナリー発電とは、熱源を使って沸点の低い物質の液体から蒸気を作り、それで蒸気タービンを回す発電システムである*2)。使用する液体は比較的低い温度で蒸発するので、通常の蒸気タービンでは利用できない100度程度の熱源でも、十分に発電ができる。

 このような特徴から、地熱だけでなく、温泉地や焼却施設、産業廃熱といった既存施設で無駄に捨てられていた熱を利用できる。Access Energyの小型バイナリー発電機は、グロス出力125kWの「Thermapower」というシリーズ製品(図1、図2)。熱源温度が120〜176度に対応する125MT、同じく82〜104度に対応する125XLTの2モデルがある。

*2) バイナリー(binary)とは英語で「2つの」を意味する言葉。例えば、ビット(bit:binary digit)は0と1という2種類の値を取る情報量だ。バイナリー発電は、温度の高いお湯や蒸気(熱源)と、装置の内部を循環する媒体(作動流体)という2種類の流体を使うことから名付けられた。一般的な地熱発電(蒸気発電)では、地下から取り出した蒸気がそのままタービンを回して発電する。

yh20140625kodera01_125XLT_590px.jpg 図1 会場で展示されたThermapower 125XLT(クリックで拡大)
yh20140625kodera01_greenmodule_590px.jpg 図2 緑色の部分が発電モジュール
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