沖縄本島で4基の石油火力を廃止、最新のLNG火力発電所が代替電力供給サービス

石油を燃料に利用する火力発電の比率が高い沖縄県で脱・石油の動きが加速している。沖縄電力が初のLNG火力発電所を2013年5月に全面稼働させたことに伴って、旧式の石油火力発電4基を2014年6月末で廃止した。発電コストが高い石油火力の依存率を下げることで電気料金の上昇を抑える。

» 2014年07月07日 07時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 沖縄電力は沖縄本島の南部にある「牧港(まきみなと)火力発電所」の5〜8号機の合計4基を6月30日に廃止した。この4基は石油を燃料に使う火力発電設備で、1970〜1974年に運転を開始して40年以上が経過している。発電能力は4基で34万kWだが、2012年11月末から順次運転を停止していた。

 これに代わる電力はLNG(液化天然ガス)を燃料に利用する「吉の浦火力発電所」から供給する(図1)。吉の浦火力発電所は沖縄電力で初めてのLNG火力発電設備で、最新のコンバインドサイクル方式を採用して発電効率が高い。2基で50万kWの発電能力があり、1号機が2012年11月に、2号機が2013年5月に営業運転を開始した。

図1 「吉の浦火力発電所」の全景。出典:沖縄電力

 沖縄本島には規模の大きい火力発電所が5カ所ある(図2)。このうち石油と石炭が2カ所ずつで、LNGの吉の浦を加えると発電能力は合計で190万kWになる。牧港の4基を廃止したことにより、石油火力の比率は57%から34%へ低下した。ただし本島以外の離島の火力発電はすべて石油を使っている。

図2 沖縄本島の発電所(2013年3月末時点)。出典:沖縄電力

 火力発電のコストは燃料の種類によって大きく違う。石油が最も高く、LNGの約1.5倍、石炭と比べると約4倍になる。電力会社の石油依存度が高い地域では電気料金も高くなり、沖縄の料金水準は全国でも最高だ。しかも石油の価格は高騰を続けている。

 とはいえ電力需要の小さい離島ではLNGや石炭を使う火力発電の導入は難しい。このため太陽光や風力をはじめとする再生可能エネルギーの導入量を拡大して、石油火力の依存度を引き下げていく。

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