CO2フリーのエネルギーに、水素を太陽光やバイオマスから作る水素エネルギーの期待と課題(2)(1/2 ページ)

水素はさまざまな方法で製造することができる。現在のところ石油や天然ガスなどの化石燃料から作り出す方法が一般的だが、CO2を排出しないように再生可能エネルギーを使って水から製造することも可能だ。最大の課題はコストを引き下げることで、技術革新による変換効率の改善がカギを握る。

» 2014年08月05日 13時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

連載第1回:「2040年に化石燃料を代替する、水素・燃料電池の技術革新」

 大阪湾に面した臨海工業地帯の一角に、日本で最大の液化水素の製造工場がある。長年にわたって水素の技術開発を続ける岩谷産業が関西電力などと共同で運営している「ハイドロエッジ」だ(図1)。2006年に操業を開始して、1時間あたり6000リットルの液化水素を製造する能力がある。

図1 液化水素の製造工場「ハイドロエッジ」。出典:岩谷産業

 ハイドロエッジでは海外から輸入したLNG(液化天然ガス)を原料にして、LNGの主成分であるメタンと水蒸気を反応させることによって水素と二酸化炭素(CO2)を生成している。これと同様の方法は家庭用の燃料電池「エネファーム」でも水素を作り出す仕組みとして使われている。

 一般に水素を製造する方法は4通りに分けられる(図2)。1つ目はハイドロエッジやエネファームで採用している化石燃料から作り出す方法である。メタンを含む石油や石炭、天然ガスなどから、水素のほかに熱も発生するのが特徴だ。エネファームでは排熱を給湯に利用している。

図2 水素の主な製造方法。出典:NEDO

 2つ目の方法も化石燃料に由来するもので、製鉄などに使うコークスが発生する副生ガスを原料にする。この副生ガスの主成分は水素とメタンで、同様に水蒸気などと反応させて水素を作ることができる。国内では新日鉄住金が製鉄のプロセスに組み込んで、環境対策として実施している(図3)。

図3 製鉄プロセスにおける水素製造の流れ。出典:新日鉄住金

 以上の2つの製造方法はCO2を発生するが、残りの2つの方法はCO2を出さずにクリーンなエネルギーとして水素を作ることができる。生物由来のバイオマスからメタンガスなどを生成して水素を作る方法と、太陽光や風力などの再生可能エネルギーで発電した電力を使って水を電気分解する方法がある。

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