埼玉県が狙う電気自動車、県内に充電器を1069基設置電気自動車

埼玉県は2014年8月、電気自動車用の充電器インフラを整備する新しい計画を発表した。走行中に蓄電池の容量がなくなる「電欠」の不安を解消しなければ電気自動車は普及しないことを重視し、都市部以外の空白地帯を減らしていく。

» 2014年08月20日 12時15分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]

 埼玉県は2014年8月、「埼玉県次世代自動車充電インフラ整備ビジョン(以下、ビジョン)」を再々改定したと発表した。県内全域に普通充電器と急速充電器を合計1069基設置する*1)

 県の問題意識は3つある。走行中に蓄電池の容量がなくなる「電欠」の不安を解消しなければ電気自動車は普及しないこと、都市部以外では充電器の空白地帯があること、県民からの充電器拡充要求が強いことだ。

 そこで、電欠を防ぐ施策を打ち出した。これがビジョンだ。ビジョンに基づいて充電器を設置すると、費用の3分の2の額の補助を受けることができる*2)

*1) ビジョンでは普通充電器と急速充電器の比率を定めておらず、急速充電器と普通充電器のセット設置を検討するとしている。2014年8月12日現在の計画をまとめた「埼玉県次世代自動車充電インフラ整備ビジョンリスト」によれば、管理番号が付けられた急速充電器は約230基ある。
*2) 2012年度補正予算「次世代自動車充電インフラ整備促進事業」で定めた「充電器購入費+設置工事費」という額の2/3を次世代自動車振興センターが補助する。

現在の計画との違いは?

 従来のビジョンは幹線道路沿線を中心にして、公共施設*3)や集客施設、自動車販売店などに充電器を設置するというもの。特に埼玉県と群馬県、新潟県を接続する国道17号線をモデル路線として重点的な整備を目指してきた。

 図1に県内の急速充電器の設置状況を示す。2013年3月末時点では94基が設置されていた。埼玉県は東西約100km、南北約50kmの範囲に広がり、西側の約3分の1が山地、東側が台地や丘陵を一部含む平たんな関東平野である。図1をみると、山地部にはほとんど急速充電器がない。

*3) 埼玉県は他の都道府県同様、公共性の要件を重視している。公道に面した入り口から誰でも自由に出入りでき、利用者を限定せず、他のサービスや物品の購入を条件としない場合に公共性が認められる。加えて、充電器の場所を示す案内看板を設置しなければならない。

図1 埼玉県内の急速充電器の設置箇所(クリックで拡大) 出典:埼玉県

 このような現状を改善するために、4種類の地点への充電器新設を促していく。最も重視するのは充電器の利用が多く見込まれる施設や長時間滞在施設だ。623基を計画する。大型ショッピングセンターや大規模公園、長時間滞在施設の他、県庁舎や市町村の公共施設を対象とする。

 次に多いのが国道の沿線や高速道路のインターチェンジ(IC)周辺だ。394基を計画する。国道には10〜15kmごとに設置し、高速IC付近3kmの幹線道路も対象にした。

 この他、道の駅に38基、充電器がない市町村の役場などに14基を設置する計画だ。

 以上の計画を図2に示した。図1の現状と比較して大幅に改善されることが分かる。青い丸が図1で示した既設の位置。赤系統の色で示した記号や線が新設地点を示している。黄色は既設の充電器がない町村だ。

図2 新設を計画する1069基の位置(クリックで拡大) 出典:埼玉県

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