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» 2014年09月05日 09時00分 UPDATE

法制度・規制:「エネルギー戦略特区」を新潟に、天然ガスと海洋エネルギーの開発促進へ

新潟県が「エネルギー戦略特区」を国に再提案した。2013年度に応募した提案内容に加えて、ガス火力発電所の新増設と海洋再生可能エネルギーの活用促進を盛り込んだ。日本海に面してロシアにも近い立地を生かして、天然ガスと再生可能エネルギーによる産業振興を目指す。

[石田雅也,スマートジャパン]

 「エネルギー戦略特区」は新潟県と日本海に面した3つの自治体(新潟市、上越市、聖籠町=せいろうまち)が共同で提案した。3市町のあいだには、原子力発電所が立地する柏崎市と刈羽村(かりわむら)がある状況だ。この特区の目的は新潟県の強みを生かして、災害に強いエネルギー供給体制と新しいエネルギー産業の拠点を形成することにある(図1)。

niigata1_sj.jpg 図1 「エネルギー戦略特区」の全体イメージ。出典:新潟県、新潟市、上越市、聖籠町

 新潟県は国産の天然ガスの7割以上を生産している。日本海沿岸にはLNG(液化天然ガス)の受入基地と火力発電所が集まっていて、関東や東北とつながるガスのパイプラインもある(図2、図3)。さらに天然ガスの生産量が豊富なロシアの極東地域に近く、海外からのLNG調達ルートを拡大するうえでも重要な役割を果たすことが可能だ。

niigata2_sj.jpg 図2 新潟県と周辺地域のLNG基地、火力発電所、パイプライン。出典:新潟県、新潟市、上越市、聖籠町
joetsu_sj.jpg 図3 「上越火力発電所」の全景。出典:中部電力

 エネルギー戦略特区は3つのテーマで構成している(図4)。第1に天然ガスの安定供給を図るために、国内の供給体制を拡充するほか、メタンハイドレートを含む国産資源の開発を促進する。上越市の沖合は海底にメタンハイドレートの存在が有望視されていて、特区の指定を受けることで開発を加速させる狙いだ。

niigata0_sj.jpg 図4 「エネルギー戦略特区」の提案内容。出典:新潟県、新潟市、上越市、聖籠町

 第2のテーマはクリーンエネルギーを拡大するために、天然ガスと海洋再生可能エネルギーの活用に取り組む。新潟県内のLNG供給能力を生かして火力発電所の新設・増設を積極的に誘致していく。火力発電所の建設に必要な環境影響評価の審査期間を短縮するほか、枯渇したガス田を利用して海外から輸入した天然ガスを地下に貯蔵できるように法整備を求める(図5)。

niigata3_sj.jpg 図5 「エネルギー戦略特区」で求める規制改革。出典:新潟県、新潟市、上越市、聖籠町

 海洋再生可能エネルギーでは、離島の粟島村(あわしまむら)の沖合が潮流発電や波力発電、浮体式の洋上風力発電の実証フィールドに指定されている。こうした海洋再生可能エネルギーを固定価格買取制度の対象に加えることも新たに提案に盛り込んだ。

 さらに第3のテーマとしてメタンハイドレートや海洋再生可能エネルギーなどの技術開発を促進する。研究開発に取り組む民間企業の税額控除の拡大や、公的機関による研究開発体制の強化を特区の中で実施するよう提案している。

 国が募集した国家戦略特区に対しては、8月29日の締切までに全国の自治体や民間事業者から206件の提案が集まった。すべての提案を国がヒアリングしたうえで、2015年3月末までに指定区域を選出する予定だ。2013年度に実施した第1回の募集には197件の応募があり、その中から6つの区域が国家戦略特区に選ばれている。

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