停電の備えは万全、発蓄電設備をコンパクトにまとめた住宅スマートハウス

野村不動産は2014年11月から、東京都三鷹市で戸建住宅45戸の販売を開始する。全戸に太陽光発電システムと蓄電池、HEMS、電気自動車充電用コンセントを設けたことが特徴。

» 2014年10月29日 07時00分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]
図1 東京都三鷹市と住宅の位置

 野村不動産は2014年11月から、東京都三鷹市中原で戸建住宅45戸の販売を開始する(図1)。開発地区全体を「プラウドシーズン仙川」と呼ぶ(図2)。

 最大の特徴は、スマートハウスに適した機器を45戸全てに備えること。太陽光発電システムと蓄電池、HEMS(家庭向けエネルギー管理システム)、電気自動車充電用コンセントだ。

 三鷹市は「エコタウン開発奨励金」という助成制度を設けている*1)。プラウドシーズン仙川は、3種類の等級のうち最も優れたゴールド認定を受けた同市初のプロジェクトである。

*1) 奨励制度の対象は、3000m2以上の住宅開発において、「複数の戸建住宅を一体的に開発し、創・蓄・省エネルギー設備を導入する開発事業者」。ゴールドの要件は、太陽光発電(太陽熱利用システム)を含めて3種類以上の設備(創エネ・蓄エネ・省エネ)を導入したもの。今回の総開発面積は6484.71m2

図2 プラウドシーズン仙川の完成予想図 出典:野村不動産

電気料金削減や非常時対応に向く設備

 プラウドシーズン仙川の各戸の敷地面積は120.09〜136.08m2(延床面積は94.76〜102.86m2)。全て地上2階建であり、2×4工法を用いた木造住宅(4LDK)だ。

 住宅の屋根に設ける太陽電池モジュールの容量は2kW。東芝の製品を用いる(図3)。リチウムイオン蓄電池としてパナソニックの「LJ-SF50A」を選択した(関連記事)。容量は5kWh、一度に1500Wの電力を利用できる製品だ。

 太陽光発電システムと蓄電池の規模から判断すると、大量に発電して大量に売電するという使い方ではなく、月々の電気料金をなるべく低く抑え、いざというときには蓄電池に貯めた電力を用いて家電製品などを動かすという用途に向くだろう*2)

 HEMSにはパナソニックの「AiSEG(アイセグ)」(関連記事)を採用し、HEMS用の情報表示装置として同社の「住まいるサポ」を用いる。住まいるサポは、HEMS用モニターの他、インタホン用のモニターや家庭用のセキュリティ機能端末として利用できるよう設計された製品。

*2) 野村不動産が蓄電池の初期設定をどのように決めるのかは不明だ。蓄電池自体の仕様では、太陽光発電システムの自立運転用コンセントに接続することで、停電時であっても日照が得られるならば、充電が可能。

図3 太陽電池モジュールとリチウムイオン蓄電池の外観 出典:野村不動産

街防災にも役立つ

 プラウドシーズン仙川では、住宅内の蓄電池から屋外コンセントや庭園灯への配線を設けた。停電時でも明かりがともる街というコンセプトを実現するためだ。

 この他、新たに整備する隣接公園に災害時炊き出し用の「かまどベンチ」(図4)を設置する他、近隣の公民館に蓄電池を寄付し、地域防災備品として利用できるようにする。

図4 かまどベンチの外観 出典:野村不動産

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