空気の熱と湿度を回収、寒くならない換気システム省エネ機器(1/2 ページ)

日本スティーベルは戸建住宅や集合住宅の壁に設置する換気システム「LT-50」を発表した。特徴は室内の熱(冷熱)や湿度を保ちつつ、換気ができること。厳寒地を含め、全国で利用できる。2015年4月に発売を開始、価格は10万円(税別)。

» 2014年11月13日 14時00分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]

 室内の換気は必要だ。だが、冬季には暖かい室内に外気が入って寒くなる。夏季には逆のことが起こる。このような問題を解決する換気システムが存在する。全熱交換式換気システムと呼ぶ。

 日本スティーベルは2014年11月、戸建住宅や集合住宅の壁に設置する換気システム「LT-50」を発表した(図1)*1)。2015年4月に発売を開始する。価格は10万円(税別)。厳寒地を含め、全国で利用できる。

*1) 屋内部分の寸法は幅240mm×高さ240mm×奥行き85mm。120〜430mmの厚さの壁に取り付けることができる。

図1 全熱交換式換気システム「LT-50」の外観 出典:日本スティーベル

 特徴は2つある。1つは排気時に空気の熱(冷熱)を蓄え、給気時にその熱を外気に与えることだ。例えば冷たい外気をそのまま吸い込むのではなく、熱を与えてから取り込む。室内の空気の熱を使うため、「加熱」のために電力を使うことはない。LT-50では、熱と同時に湿度も保持する。これが全熱交換式換気システムの働きだ。

 もう1つは設置しやすいこと。「当社が既に販売している製品はダクトを利用しているため、新築に向いていた。LT-50はダクトを使わない。エアコンのように壁を貫通する穴(直径157mm)と、配電盤から100Vの電力を受ける直結工事だけで導入できる。このためリフォームにも向く」(同社)。LT-50は1台で給排気が可能であり、別に給排気口を設ける必要がない*2)

*2) LT-50は第1種換気システムに分類される機器。第1巣は給排気とも換気扇(ファン)を利用する。第2種は給気のみ、第3種は排気のみに換気扇を使う。第1種は換気効果が高い。

どの程度、室温を維持できるのか

 LT-50の構造は、室内部分と壁を貫通する伸縮式の円柱状の部分、室外部分の3つに分かれる。このうち、円柱状の部分に多孔質のセラミック部品が組み込まれている(図2)。これが熱交換を担う蓄熱体だ。図2では薄茶色に描かれている。

 「部屋の広さと人数に換算すると、40m2の部屋に2人が居住する場合まで対応できる」(同社)。

 室内の温度を維持する性能を単純化して示すとこうなる。「冬季に外気が0度、室内が20度の場合、外気の温度を18度まで高めて給気できる。夏季は外気が35度、室内が22度の場合、23.3度の外気を給気可能だ」(同社)*3)

*3) LT-50は全熱交換式システムであるため、湿度を考えると潜熱部分の評価も必要になる。「全熱=顕熱(温度)+潜熱(湿度)であり、LT-50は顕熱交換率が約90%」(同社)。全熱の性能はエンタルピ交換率という数字で表す。LT-50のエンタルピ交換率は暖房時に86%、冷房時に92%。

図2 LT-50の内部構造 手前が室内側、茶色の円柱が蓄熱体 出典:日本スティーベル
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