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» 2014年11月20日 13時00分 UPDATE

動き出す電力システム改革(23):送配電事業者に厳しい規制、人事もグループ会社と中立に

2018年にも実施する発送電分離にあたっては、電力会社から独立する「一般送配電事業者」の中立性を確保することが最大の課題になる。分離・独立後には同じグループの発電・小売事業者とのあいだで、役員や従業員の兼業禁止、影響力行使の禁止などの規制が設けられる予定だ。

[石田雅也,スマートジャパン]

第22回:「小売・発電事業者はネット経由で毎日の計画提出が必要、2015年10月めどに準備を」

 これから3段階で進んでいく電力システム改革の最後が「発送電分離」である。その目的は各地域の送配電ネットワークを独占的に運営する「一般送配電事業者」の中立性を確保することだ。すべての発電・小売事業者が送配電ネットワークを公平に利用できる状況にならなければ、自由な競争は生まれない。

 一般送配電事業者は発送電分離で独立の会社になった後も、電力会社のグループに属する。同じグループの発電事業者や小売事業者を優遇するような行為は禁止しなくてはならない。そのためには第1に人事面で厳しい規制を設ける必要がある。政府は一定の条件を決めて、役員や従業員の兼任などを禁止する方針だ。

 現在の電力会社は発送電分離によって4つの会社に分ける案が有力である。持株会社の傘下に、発電・送配電・小売の各事業会社が入る形になる(図1)。送配電事業会社との関係が強いのは発電事業会社と小売事業会社である。政府の案では送配電事業会社と発電・小売事業会社のあいだでは役員の兼任を禁止する。

bunri1_sj.jpg 図1 発送電分離による組織体制と一般送配電事業者の中立性。出典:資源エネルギー庁

 さらにグループ全体を統括する持株会社に対しても同様の規制を設ける。同じグループの中でも電気事業者でなければ規制の対象から外す方向だ。このほかに発電・小売事業会社の取引先も送配電事業会社から直接の利益を得る立場にはないため、役員の兼任を認める。

 人事面の規制は役員レベルにとどまらず、影響力のある立場の従業員も対象になる。送配電事業会社の中には送配電ネットワークの運用・投資計画の策定にかかわる従業員や、送配電ネットワークを利用する発電・小売事業者の競争情報に接する従業員が数多く存在する。そうした従業員のうち役職者に対しては、グループ会社への異動に一定の制限を設ける(図2)。

bunri3_sj.jpg 図2 グループ内で規制の対象になる役員・従業員。出典:資源エネルギー庁

 対象になる役職者は「重要な使用人」と位置づけられる場合で、送配電事業の主要な業務を統括する執行役員や部長などだ。業務に携わっているあいだはグループ内の発電・小売事業会社や持株会社の役職を兼任することは認められず、在任期間の前後2年間程度は発電・小売事業会社や持株会社に異動することができない。同様の制限は一般の従業員にも適用する可能性がある(図3)。

bunri4_sj.jpg 図3 一般送配電事業者の役員・従業員に対する規制。出典:資源エネルギー庁

 こうした人事面の規制に加えて、グループ会社に影響力を行使するような行為そのものもガイドラインを設けて規制する予定だ(図4)。ガイドラインに違反した場合には罰則を適用することになる。さらにグループ内の資金調達や相互取引に関しても、送配電事業会社を含む場合には規制を設ける。

bunri2_sj.jpg 図4 グループ会社に影響力を行使する例。出典:資源エネルギー庁

 電力システム改革を成功させるためには、電力会社から分離・独立する送配電事業会社が中立性を維持することが極めて重要になる。送配電事業の運営を妨げない範囲で、可能な限り厳しい規制が求められる。

第24回:「再生可能エネルギーに特例制度、発電量の過不足は事業者の負担を軽く」

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