1.2MWの燃料電池を導入、大阪の卸売市場が国内最大規模電力供給サービス(2/2 ページ)

» 2014年12月04日 07時00分 公開
[畑陽一郎スマートジャパン]
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電気料金低減よりも非常用電源充実を選ぶ

 第4は電気料金の負担だ。市場全体の電気料金の負担を、燃料電池導入の前と同等になるようにする。「関西電力の電気料金(4600kW)が、導入後の電気料金(約3400kW)と燃料電池(1200kW)の料金の合計と同等になるという意味である」(総務企画グループ)*2)

*2) Bloom Energy Japanは、長期固定契約で電力を供給する。料金が予測可能な電力を供給することで、顧客のリスクを減らすサービスだということができる。

 大阪府が新しい電源を導入することになったそもそもの発端は、市場開設時に設置した非常用ディーゼル電源(900kW)を更新する必要があったというもの。単に更新するだけではなく、容量を増やして非常時にも冷蔵庫を動かす計画だ。

 市場側の当初の要望は、系統電力が途切れても冷蔵庫の機能を維持できる1MWの電源を導入するというもの。コストに関しては現在の非常用電源を更新・増強した場合よりも削減できればよいという条件だった。

 Bloomエナジーサーバーは、地震などに強い中圧導管から都市ガスを取り込み、化学反応によって電力を生み出す燃料電池。このため、系統電力が途切れたとしても非常用電源として機能する。今回の基本合意に従うと、900kWの非常用電源が1200kWに増強される。トータルの電気料金が変わらないのであれば当初の目的にかなっている。

中圧導管はどの程度地震に耐えるのか

 都市ガスはLNG1次受入基地などから高圧(1MPa以上)で送り出され、整圧器で中圧(0.1MPa〜1MPa未満)に整圧されたのち、ガスホルダー(球状のガスタンク)などに蓄えられる。一般家庭やビルに送る際、再度整圧器を通して圧力を落として低圧とする。地震で被害を受けるのは主に低圧導管だ。

 「東日本大震災を踏まえた都市ガス供給の災害対策検討報告書」*3)によれば、1995年に発生した阪神・淡路大震災では中圧導管の被害箇所は106カ所/5000km(100km当たり2カ所)。2011年に発生した東日本大震災では同じく22カ所/1万2549km(100km当たり0.2カ所)だった。22カ所中13カ所はフランジ継手部分からの軽微な漏えいにとどまった。供給停止に至ったのは22カ所中3カ所のみ。これは中圧導管がループ化(迂回路化)されているためである。

*3) 2012年3月に経済産業省の審議会である総合資源エネルギー調査会の都市熱エネルギー部会ガス安全小委員会災害対策ワーキンググループが発表した資料。

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