2015年度のエネルギー関連予算は実質11%増、補正予算と合わせて1兆円を超える補助金

政府は国の競争力を左右するエネルギーコストの低減に向けて、2015年度も引き続き巨額の予算を投入する。2014年度の補正予算と合わせて1兆円を超える規模で、省エネ対策の徹底、水素社会の実現、再生可能エネルギーの導入拡大を推進していく方針だ。

» 2015年01月15日 12時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

既報「エネルギー対策に3515億円の補正予算、再エネ接続保留の緊急対応に809億円」

 1月9日に決まった2014年度の補正予算案に続いて、14日には2015年度の当初予算案も閣議で決定した。このうち資源・エネルギー関係予算は7965億円で、2014年度補正予算の3284億円(廃炉・汚染水対策を含めると3515億円)と合わせて1兆1249億円にのぼる。前年度の9712億円(当初予算8727億円+2013年度補正予算965億円)から11.6%の増額になる。

 特に大きな予算を割り当てるのは、エネルギーの消費段階と生産段階の2つを対象にした事業である。消費段階では省エネの徹底と水素社会の実現をテーマに、総額3589億円の予算を投入する(図1)。工場を中心に省エネ設備を導入するための補助金に1430億円のほか、家庭やオフィスビルのネット・ゼロ・エネルギー化を推進する対策の強化などに951億円を割り当てた。

図1 2015年度の資源・エネルギー関係予算その1(エネルギー消費段階)。数字の単位は億円。「補」は2014年度補正予算。出典:経済産業省

 水素関連では437億円の予算を使って、家庭向けの燃料電池や自動車向けの水素ステーションを拡大するほか、新たに水素発電の技術実証などに20億円を振り向ける。加えて地方のエネルギー消費を効率化するために、再生可能エネルギーを中心にした地産地消型ネットワークの構築を239億円の予算で推進していく。

 続いてエネルギーの生産段階では消費段階を上回る総額4218億円を投入して、再生可能エネルギーの導入拡大を第1のテーマに取り組む(図2)。補正予算で809億円を確保した接続保留に対する緊急対策のほか、未来のエネルギー源として期待が大きい洋上風力と地熱資源の開発に重点を置く方針だ。新たに太陽光発電のコスト低減技術の開発にも43億円を割り当てた。

図2 2015年度の資源・エネルギー関係予算その2(エネルギー生産段階)。数字の単位は億円。「補」は2014年度補正予算。出典:経済産業省

 このほか世界をリードする火力発電の高効率化を加速させるための技術開発に274億円、メタンハイドレートなどの国内資源の開発に291億円を投入する。火力発電の分野では石炭火力で最高の効率を発揮できる「石炭ガス化燃料電池複合発電」の実証プロジェクトや、温室効果ガスを削減する「二酸化炭素回収・貯留」の実証試験を実施する予定だ。

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