燃料電池「エネファーム」の価格が160万円に、東京ガスが4月に発売蓄電・発電機器

東京ガスは家庭用の燃料電池「エネファーム」の新機種を4月1日から販売する。希望小売価格を現行の機種から30万円も引き下げて、日本で初めて1台160万円に設定した。停電時にも発電・給湯・暖房が可能な機種を加えて、災害に強いエネルギー供給装置として拡販する狙いだ。

» 2015年02月06日 09時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 東京ガスが戸建て住宅向けの「エネファーム」の新機種を発売するのは、2013年4月以来2年ぶりである。従来の製品はメーカー希望小売価格を190万円で販売してきたが、新製品は160万円に引き下げた(消費税と設置工事費は別。以下同じ)。現時点で国内では最低の価格になり、拡大するエネファームの市場で販売を加速させる。

 新機種では燃料電池ユニットと貯湯ユニットを組み合わせた「一体型」を開発して、設置スペースを15%縮小した。従来と同様に2つのユニットを分離した「別置型」もあり、どちらのタイプも価格や性能は同じだ(図1)。発電能力は200〜700Wで、最大出力が従来の750Wから50Wだけ低くなる。発電効率や熱効率は変わらない。

図1 エネファームの新機種2タイプのユニット構成。出典:東京ガス、パナソニック

 これまで別付けのオプションで提供してきた「停電時発電継続機能」を燃料電池ユニットに内蔵することもできる(価格7万円)。エネファームが発電している状態で停電が発生した場合に、電力の供給を続けることができる(図2)。ガスと水道が通じていれば給湯と暖房も可能である。

図2 停電時の電力供給と給湯の仕組み。出典:東京ガス、パナソニック

 ただし停電が発生した時にエネファームが発電していないと、電力の供給を続けることはできない。別売の「停電時自立起動オプション品」(61万5000円)を併用する必要がある。このオプション品にはリチウムイオン蓄電池を内蔵していて、燃料電池と合わせて最大で1200Wの電力を供給することができる。

 エネファームは東京ガスが世界に先がけて2009年に発売した。現在ではガス会社のほかに石油などエネルギー関連企業の多くが販売している。特に東日本大震災が発生した後の2011年度から販売台数が急増して、2014年度は年間4万台を突破する勢いである(図3)。

図3 エネファームのメーカー販売台数(2014年度は9カ月分)。出典:コージェネ財団

 政府は2020年までに累計140万台のエネファームの導入を目指して、2011年度から補助金制度を開始した。2014年度に支給する補助金は1台あたり最大で38万円である。さらに市場の拡大によって、2016年には1台の価格を70〜80万円まで引き下げることが目標になっている(図4)。

図4 エネファームの価格低下と普及のシナリオ。出典:資源エネルギー庁

テーマ別記事一覧

 蓄電・発電機器   家庭 


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.