地域還元型のメガソーラー、秋田県の豪雪地帯で発電開始自然エネルギー

沿岸部を中心に風力発電が盛んな秋田県だが、雪の多い山間部でメガソーラーが運転を開始した。20年間も使われていなかった食肉センターの跡地を利用して、降雪にも耐えられる設計を施した。地元と連携して除雪作業を実施するほか、売電収入の一部を地域に還元することも計画中だ。

» 2015年02月10日 15時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 太陽光を中心に再生可能エネルギー事業を全国で展開する「自然電力」が、秋田県の大館市に「秋田大館自然電力太陽光発電所」を稼働させた。山間部にある約3万平方メートルの土地に、発電能力が2.2MW(メガワット)の太陽光発電設備を建設したものである(図1)。

図1 「秋田大館自然電力太陽光発電所」の全景。出典:自然電力

 大館市は豪雪地帯にあって冬は雪に覆われるが、日照時間は沿岸部よりも長い。適切な積雪対策を実施すれば、十分な発電量を得ることができる。太陽光パネルを通常よりも斜めに30度の角度で設置したほか、パネルを設置する架台の高さを1.5メートル以上にセットした(図2)。パネルの表面に雪が積もらず、雪に埋もれることも防ぐ。さらに地元の企業に除雪を実施するタイミングの監視と実際の除雪作業を委託する。

図2 太陽光パネルの設置状況。出典:自然電力

 年間の発電量は229万kWhを見込んでいる。一般家庭の使用量で640世帯分に相当する。設備利用率(発電能力に対する実際の発電量)は12%になり、太陽光発電の標準値からさほど下がらない見通しだ。発電した電力は固定価格買取制度で売電する。自然電力は想定の収入額を明らかにしていないが、2013年度の買取価格(1kWhあたり36円、税抜き)を適用した場合には年間に約8200万円になる。

 メガソーラーを建設した土地は20年ほど前まで食肉センターがあった(図3)。現在は大館市が所有していて、自然電力は市から土地を賃借して使用料を支払う。そのほかにも売電収入の一部を地域に還元する方針で、当面の収益の状況を見ながら具体的な還元モデルを決める予定だ。

図3 発電所を建設した食肉センター跡地(赤枠内)。出典:自然電力

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