地熱で280MWの巨大な発電所、東芝などがケニアに建設自然エネルギー

日本最大の地熱発電所の規模を2倍以上も上回る設備がアフリカのケニアで運転を開始した。発電能力は280MWにのぼり、ケニア国内の総発電量の2割近くをカバーする。東芝など日本と韓国の民間企業3社が建設した。ケニアでは2030年までに総発電量を10倍に拡大する国家計画を推進中だ。

» 2015年02月24日 13時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 ケニアの首都ナイロビから北西100キロメートルの場所に、「オルカリア(Olkaria)地熱地帯」がある(図1)。アフリカを縦断する大地溝帯(グレートリフトバレー)に含まれる火山地帯で、地熱の温度が高い地域として知られている。

図1 「オルカリア地熱地帯」の位置。出典:国際協力機構

 新たに発電を開始したのは「オルカリア1号地熱発電所」と「オルカリア4号地熱発電所」である(図2)。発電能力は2カ所の合計で280MW(メガワット)にのぼる。現在のところケニア国内で稼働している発電設備の規模は166万kW(1660MW)で、新設の地熱発電所は全体の約17%を占める。

図2 「オルカリア1号地熱発電所」(左)と「オルカリア4号地熱発電所」(右)。出典:東芝、豊田通商

 発電設備には東芝製の地熱蒸気タービンと発電機を4セット導入した。1セットあたりの発電能力は70MWに達する。日本では大分県にある九州電力の「八丁原(はっちょうばる)発電所」が最大の地熱発電所で、2基の発電設備を使って110MWの電力を供給することができる。これと比べてオルカリア1号と4号は2.5倍の発電能力になる。

 ケニアでは国内の総発電量を2030年までに1750万kWへ拡大する計画で、その最優先プロジェクトがオルカリアの地熱発電である。日本政府が資金の一部を援助して、東芝と豊田通商がケニア電力公社から建設工事を請け負った。プロジェクトには韓国の現代エンジニアリングも加わっている。

 オルカリア地熱地帯には発電規模に換算して100万kW以上の地熱資源量が見込まれている。日本を含む世界の主要国が支援して5号地熱発電所の建設計画も進んでいて、国際協力機構(JICA)によると140MWの発電設備を新設する予定である(図3)。

図3 オルカリア地熱発電プロジェクトの展開計画。出典:国際協力機構

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