関西の電力需要の減少に歯止めがかからない。今冬の最大電力は2484万kWで、前年を39万kWも下回った。需給率は最大でも94%にとどまり、原子力発電所が稼働しなくても電力不足の心配は生じていない。気温が前年並みだったことから、1年間で約40万kWの節電効果が推定できる。
関西電力が今冬の電力需給状況をまとめた結果によると、最大電力を記録したのは12月17日(水)の17時台だった(図1)。大阪では最低気温が0度近くまで下がり、管内全域で暖房需要が増加したためだ。それでも昨冬の2523万kWと比べると39万kWも少なくなっている。12月〜3月までの平均気温は平年と比べて0.2度低かった。
実際に電力の需給状況が厳しくなることはほとんどなく、需給率が90%以上になった日は7日間だけである(図2)。最大電力が発生した12月17日の17時台に94%まで上昇したほかは、90%をわずかに超える程度にとどまっている。
関西電力が事前に予想した今冬の最大電力は2535万kWで、需給率は97%まで高まる可能性があった(図3)。需要に対する供給力の予備率が3%になって、停電の心配が生じる危険な状態を予想していた。現実に需給状況が安定していたことは朗報だが、そもそも需要を過大に見込んだ結果であり、必要のない不安を利用者に抱かせたことに問題がある。
東日本大震災の後に始まった夏と冬の需給見通しでは、関西電力と九州電力は常に予備率3%の予測を出し続けてきた。原子力発電所が運転を停止して、そのために供給力が不足してしまうことをアピールする狙いがあることは明らかである。
ところが企業と家庭の双方で節電効果が高まり、電力の需要は年々減り続けている。関西電力が分析した結果によると、冬の需要がピークになる夕方の18時台には、震災前の2010年度(平成22年度)と比べて200万kWも少なくなった(図4)。
この減少量を昨冬と比較すると約40万kW多い。朝の9時台でも同様で、気温や時間帯に関係なく定着した節電効果とみなすことができる(図5)。用途別に見ても家庭用・業務用・産業用のすべてで節電効果が高まっている。2015年度も関西電力が電気料金の再値上げを実施すれば、気温が平年を下回らない限り、需要が減ることは確実だ。
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