北海道の冬の予備率15%以上、関西と九州は相変わらず3%電力供給サービス

例年通り政府の委員会による冬の電力需給の見通しが発表された。需要がピークになる2月でも北海道の予備率は15%を超える見込みで、電気料金の値上げが需要を押し下げる。一方で関西と九州は電力不足の心配がある予備率3%を想定するが、前年の実績を見れば非現実的な予測と言える。

» 2014年10月02日 15時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 今年の冬は北海道でも電力不足の心配がなく過ごせそうだ。政府の電力需給検証小委員会が発表した需給見通しによると、需要がピークになる2月の予備率(最大需要に対する供給力の余剰率)は北海道で15.7%を確保できる(図1)。前年と比べて供給力が増える一方、電気料金の値上げによって需要が大幅に減る見込みである。

図1 2014年度冬季(2月)の需給見通し(画像をクリックすると拡大)。出典:電力需給検証小委員会

 北海道の今冬の供給力は620万kWで、これに対して2月の最大需要は536万kWを予想する。北海道電力が11月から電気料金を再値上げする影響により、需要が21万kWも減る想定だ。供給力と最大需要の差は84万kWに達して、再稼働を目指す原子力の泊発電所3号機の91万kWに匹敵する規模になる。

 今年は例年と違って北海道の予備率が最大になる見通しだが、そのほかの地域でも5%以上の予備率を確保できるところが多い。ただし関西と九州は相変わらず電力不足の心配がある3.0%の予測になっている。両地域ともに2013年の夏から4回連続で予備率を3.0%で見込んでいるものの、それほど低い予備率になったことは1度もない。委員会では今冬も節電の数値目標すら設定せず、対策は不要と考えている。

 実際に2013年度の冬の状況を見れば、予備率3.0%が非現実的な予測であることがわかる。関西では当初の見通しよりも供給力を38万kW増やしたのに対して、最大需要が予測を53万kWも下回った結果、予備率は6.7%を確保できた(図2)。九州では供給力を30万kW減らしたにもかかわらず、最大需要が98万kWも少なくなり、予備率は8.0%だった。

図2 2013年度冬季の実績と見通し(画像をクリックすると拡大)。出典:電力需給検証小委員会

 電力需給の見通しは万一の事態に備えて、保守的に想定するのが通例になっている。2013年度の冬の実績では東京・中部・沖縄の3地域だけが見通しよりも低い予備率になったが、それでも5%を超えて十分な余裕があった。今冬も関西と九州を含めて全国の各地域で電力不足の心配はない。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.