製鉄所高炉跡地の都市型石炭火力発電所、関西電力に130万kWの供給を決定電力供給サービス

神戸製鋼所は関西電力の火力発電建設に伴う入札で落札者に決定し、このほど電力需給契約を締結した。

» 2015年04月08日 07時00分 公開
[長町基スマートジャパン]

 今回、建設する石炭火力発電所には火力発電設備導入時の基準であるBAT(Best Available Technology)に即した最新鋭の発電技術である超々臨界圧発電設備を導入する。併せて都市型発電所にふさわしい高水準の環境対策も実施する。

 発電所の設置場所は神戸製鋼所内の2017年11月に休止予定である第3高炉の跡地となる。微粉炭火力超々臨界圧発電設備で発電を行い、規模は65万kWの2基体制の合計130万kW(需給最大電力112.1万kW)を計画する(関連記事)。

 1基目が2021年度から、2基目が2022年度から供給を開始する。新発電所を電力需要地である神戸市や阪神地域に近い場所に建設することから、神戸製鋼所は電源の効率化やそれに伴う低炭素化を推進。また、ベース電源として安価な電力を大量で安定的に供給することで地域経済のさらなる安定・発展へ貢献する方針だ。

 神戸製鋼所は02年に最初の神鋼神戸発電所第1号基(70万kW)を建設した。続いて04年に2号基(同)も運転を開始。発電規模140万kW体制を構築し、02年から関西電力向けに電力卸(IPP)事業を行うなど地元神戸市の電力自給率の向上に取り組んできた。同社の「2013〜2015年度グループ中期経営計画」では石炭火力発電所の建設・操業で培ったノウハウを生かして、電力供給事業を安定収益基盤として拡大することを目指している。今回のプロジェクトもその1つとなる。

photo 神戸製鋼所の2013〜2015年度グループ中期経営計画における電力事業の方針(クリックで拡大)※出典:神戸製鋼所

 地域と共生する新しいスタイルの「都市型発電所」を神鋼神戸発電所はテーマとして掲げており、大都市のライフラインの確立、地域のエネルギーの供給、環境の保全と景観デザイン、地域への社会貢献などを同時並行で進めている。特に都市型発電所として環境保全には力を注ぎ、大気汚染の防止をはじめ、水質保全、騒音・振動・悪臭の防止から廃棄物対策、環境調和まで高い水準の環境技術を導入している。新火力発電所でもこうした環境保全技術が用いられるものとみられる。

 なお、神戸製鋼所では電力供給事業の一環として、栃木県真岡市に、60万kW級×2基の合計120万kW級のガスタービン・コンバインドサイクル方式のガス火力発電所を建設する計画を進めている。早ければ2016年にも着工し、一号機は2019年後半の稼働の見込み。発電した電力全量は東京ガスに販売することで合意している(関連記事)。

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