太陽光で走る小型EVが古都を巡る、CO2フリーで観光産業活性化へ電気自動車

ソフトバンクモバイルと明日香村地域振興公社は、奈良県飛鳥地方で超小型EVのレンタルサービスを開始した。充電には県内で太陽光発電により発電された電力を使用しており、CO2フリーなサービスで地域の観光産業の活性化を狙う。

» 2015年04月22日 09時00分 公開
[陰山遼将スマートジャパン]

 飛鳥時代の宮殿や史跡が多く、代表的な観光地である奈良県の飛鳥地方。ここで明日香村地域振興公社とソフトバンクモバイルが、2015年4月17日から超小型モビリティ(以下、超小型EV)のレンタルサービス事業「MICHIMO(ミチモ)」を開始した。超小型EVの充電は全て奈良県内の太陽光発電による電力を使用する。超小型EVと再生可能エネルギーを組み合わせたCO2フリーなサービスで、飛鳥地方における観光産業の活性化を推進していく。

図1「MICHIMO」でレンタルされる超小型EV 出典:MICHIMO

 レンタルする超小型EVには、専用にカラーリングされた日産自動車の「NISSAN New Mobility Concept」(図1)を17台使用する。2人乗りで超小型EVで、航続可能距離は約100kmだ。Webや電話などで予約を行い、近鉄飛鳥駅前の専用ステーションで手続きを行うことでレンタルできる。料金は「1日乗り放題(税別8000円)」、「3時間プラン(税別3000円)」、「5時間プラン(税別4750円)」の中から選択可能で、利用時間は午前9時から午後18時まで。

 レンタルできる超小型EVにはカーナビゲーションシステムとして、飛鳥地域の観光ルートを案内する専用のアプリケーション「MICHIMOナビ」がインストールされたタブレット端末が搭載されている。MICHIMOナビは近距離通信技術の1つであるiBeaconと連携し、iBeaconに対応した史跡や施設などの観光スポットに近づくと、自動でその場所に関する情報がタブレット端末に表示される。訪問した観光スポットの履歴を跡から参照することも可能だ(図2)。

図2 MICHIMOナビとiBeaconの連携イメージ/図3 バーチャル飛鳥京の利用イメージ 出典:明日香村地域振興社

 さらにMICHIMOナビは、明日香村で展開されているユニークなサービス「バーチャル飛鳥京」とも連携している。バーチャル飛鳥京とは明日香村の現在の風景に、飛鳥時代の都にあった建築物や寺院のCGを合成するサービスで、観光客はタブレット端末から飛鳥時代の当時の様子を体感できる(図3)。

エネルギーの地産地消を体験

図4 MICHIMOで走行可能なエリア 出典:MICHIMO(クリックで拡大)

 レンタルした超小型EVで走行できるのは国土交通省が認定した橿原(かしはら)市、高取町、明日香村の一部だ(図4)。走行可能エリア内には現在3つ充電スポットが設けられており、ソフトバンクモバイルの充電・認証システム「ユビ電」が設置されている。ユビ電は充電プラグを挿すだけで個体の識別番号を認証し、クラウドシステムと連携することでどの超小型EVがどこでどれだけ充電したかをリアルタイムに把握できるシステムを備えている。

 充電に奈良県内で太陽光発電によって発電された電力を使用することで、単に移動手段を提供するだけでなく、観光客がエネルギーの地産地消を体感できるサービスとしても設計されている。

 ソフトバンクモバイルは2013年に香川県の豊島でも超小型EVとユビ電を活用したサービスの実証実験を行っている(関連記事)。小型EVの活用はこうした観光サービスだけでなく、最近では住宅地でもカーシェアリングサービスなどの実証実験が実用化に向けて広がりつつある(関連記事)。

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