CO2フリーの島には電気自動車を、水力発電ほぼ100%の屋久島で補助金電気自動車

世界自然遺産の屋久島では島内の電力のほぼ100%を水力発電でまかなえるため、電気自動車を導入すればCO2排出量をゼロに近づけることが可能だ。鹿児島県は屋久島を対象に2010年度から実施している電気自動車の補助金を2015年度も継続して「CO2フリーの島づくり」を推進する。

» 2015年04月20日 15時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

 「地球環境先進県」を目指す鹿児島県は2010年から「屋久島CO2フリーの島づくり」を進めてきた。屋久島は年間の降水量が全国平均の2倍にもなり、島内の電力のほぼ100%をCO2フリーの水力発電で供給している。その電力を使って走る電気自動車が増えれば、CO2排出量は減っていく。

 CO2フリーの島づくりの一環で、「屋久島電気自動車普及促進支援事業」が2010年度に始まった。国の補助金に加えて県からも補助金を交付して、電気自動車の購入金額を大幅に引き下げる。6年目の2015年度は4月15日に募集を開始した。鹿児島県は1年間で約30台に補助金を交付する予定だ。

 補助金を受けられる対象者は屋久島町の町民と事業者で、屋久島のほかに口永良部島(くちえらぶじま)も含まれる。ただし屋久島の島内だけで電気自動車を利用することが条件になる。補助金額は車種によって違うが、ほとんどの車種で国の補助金を上回る(図1)。

図1 補助金の対象車種と補助金額。出典:鹿児島県環境林務部

 例えば5人乗りの「日産リーフX」(図2の上段左)の場合には、車両本体価格(税込み)の315万9000円に対して、国の補助金は27万円だが、県の補助金が63万円も付いて、最終的に225万9000円で買うことができる。国の補助金が2014年度と比べて26万円も少なくなった代わりに、県の補助金を43万円も引き上げた。屋久島で電気自動車を増やしたい鹿児島県の意気込みが表れている。

図2 補助金の対象になる電気自動車。出典:鹿児島県環境林務部

 新たに2014年10月に発売されたワゴンタイプの「e-NV200」(図2の中段左)も対象に加わった。国と県の補助金を合わせると177万円になって、5人乗りの車種ならば半額に近い価格で購入することができる。このほかに補助金の比率が大きいのは4人乗りの軽自動車「MINICAB-MiEV(ミニキャブ・ミーブ)」(中段右)で、半額以下で購入することが可能だ。

 電気自動車はガソリン車や燃料電池車と比べて航続距離が短くて、しかも充電に時間がかかることが難点である。このため大都市を中心に最近では燃料電池車の人気が高まっている。ただし燃料電池車の燃料になる水素は今のところ化石燃料から作るものが大半で、CO2排出量の削減にはさほど貢献しない。

 屋久島では地元の屋久島電工が3カ所の水力発電所(合計出力5万8500kW)を運営して島内の電力を一手に供給している。水力による電力の自給率は99.5%に達する。島内を走るガソリン車を電気自動車へ切り替えることで、CO2排出量をほぼゼロに削減することができる(図3)。

図3 屋久島に電気自動車を導入するメリット。出典:鹿児島県環境林務部

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