燃料電池車「MIRAI」が420万円で買える、東京都が水素に40億円の補助金補助金

東京都は2020年のオリンピック・パラリンピックで水素を活用した都市づくりを世界にアピールするために、燃料電池車や水素ステーションの導入に対して国の補助金と併用できる制度を新設する。「MIRAI」の購入者に101万円、水素ステーションの設置者に1億8000万円を交付する予定だ。

» 2015年01月07日 07時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 東京都は2014年度の補正予算で水素エネルギーの導入支援に40億円を確保した。この予算を使って「燃料電池車」「水素ステーション」「外部給電機器」「事業所向け水素活用設備」の4つを対象に補助金制度を新設する。特に燃料電池車と水素ステーションは国の補助金と併用できるようにして導入費の負担を大幅に軽減する狙いだ。

 燃料電池車は現時点ではトヨタ自動車の「MIRAI」が対象になる。2014年12月15日に発売したMIRAIはメーカー希望小売価格が723万6000円(税込み)で、国の補助金を202万円まで適用できる。さらに東京都は国の半額にあたる101万円の補助金を交付して、購入者の負担額を420万6000円まで低減させる(図1)。さらにエコカー減税と自動車グリーン税制の減税分を加えると400万円を切る水準まで下がる。

図1 燃料電池車の購入に対する補助金。出典:東京都環境局

 補助金の適用対象は東京都内で燃料電池車を購入する民間企業と個人である。このほかに水素ステーションの導入に協力した区市町村には国と同額の202万円を交付する方針だ。2016年度までに合計で800台の適用を見込んでいる。

 水素ステーションの設置に対しては1カ所あたり1億8000万円を交付して、国の補助金と合わせて4億円を軽減する(図2)。標準的な水素ステーションの設置費は約5億円であることから、事業者の負担は1億円程度で済む。これは一般的なガソリンスタンドの設置費と同等だ。事業者が中小企業の場合には2億8000万円まで交付して、実質的な負担額をゼロにする。2016年度までに合計10カ所の導入を想定している。

図2 水素ステーション(固定式)の設置に対する補助金。出典:東京都環境局

 国の補助金がない外部給電装置には購入費の半分に相当する40万円まで、事業所が導入する燃料電池などにも購入費の半分を最高3億7000万円まで交付する。外部給電装置は燃料電池車から家庭などに電力を供給するための装置で、燃料電池車と同数の800台に適用できる予算を割り当てる。

 東京都は2020年に開催するオリンピック・パラリンピックまでに、都内の燃料電池車の台数を6000台、水素ステーションの設置数を35カ所に拡大する目標を掲げている。都内で35カ所に広がると、最寄りの水素ステーションに到達するまでの時間が15分で済む想定だ。

 2014年11月の時点で国の補助金を受けた商用の水素ステーションは都内で4カ所に開設することが決まっている。東京ガスが2014年12月に第1号を練馬区に開設したのに続いて(図3)、2015年3月までにJX日鉱日石エネルギーが2カ所、岩谷産業が1カ所に開設する。さらに時期は未定だが3カ所でも設置計画がある(図4)。

図3 東京都で初めての商用水素ステーション(2014年12月18日の開所式)。出典:東京ガス
図4 東京都内の水素ステーション整備予定(2014年11月時点。画像をクリックすると拡大)。出典:東京都環境局

 東京都はオリンピック・パラリンピックの場を生かして、水素エネルギーを活用した未来型の都市の姿を世界にアピールする。2020年までに燃料電池バスも50台以上を走らせる計画で、先行して都営バスに導入する方針だ。2015年度に実証実験を開始して、2016年度から本サービスに投入する。

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