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» 2015年05月07日 15時00分 UPDATE

電力供給サービス:小売自由化と発送電分離へ、東京電力に続いて関西電力も組織改革

事業構造の転換に向けて電力会社の動きがあわただしくなってきた。東京電力が発送電分離を先取りした会社分割を2016年4月1日に実施することを決める一方、関西電力も発電・送配電・小売の事業部門を2015年6月25日に再編・強化する。今後は他の電力会社も追随するのは必至だ。

[石田雅也,スマートジャパン]

 2016年4月の小売全面自由化に伴って、電力会社は発電・送配電・小売の事業ごとに事業者の登録が必要になる。組織改革で先行する東京電力は事業別に会社を分割することを決定した。小売全面自由化が始まる2016年4月1日に、火力発電・送配電・小売の各部門を分社化する。

 新体制は持株会社の「東京電力ホールディングス」の傘下に、3つの事業会社が100%子会社として並ぶ構造だ(図1)。3社は2016年4月1日の時点で現在の東京電力の火力発電・送配電・小売の各事業を設備などの資産を含めて受け継ぐことになる。同時に社名も変更する方針で、2020年4月の発送電分離を4年も早く先取りする。

toden_soshiki4_sj.jpg 図1 発送電分離に向けた東京電力の組織改革。出典:東京電力

 これまで他の電力会社は東京電力の取り組みを静観してきたが、いよいよ2番手の関西電力が組織改革に動き出す。2015年6月25日に全社の組織を6つの事業部門に再編して、事業部門別の収益管理を明確にする(図2)。発電事業を火力・水力・原子力の3事業本部へ移行するほか、従来から送配電事業を担当してきた「電力流通事業本部」と小売事業を担当する「お客さま本部」の組織も強化する計画だ。

kanden_soshiki_sj.jpg 図2 関西電力が2015年6月25日に実施する組織改正。出典:関西電力

 特に注目すべきは「水力事業本部」と「お客さま本部」の2つである。水力はCO2を排出しない再生可能エネルギーに含まれることから、小売全面自由化によって新たな顧客を拡大できる可能性がある。すでに東京電力は水力発電を中核にした再生可能エネルギー事業の社内カンパニーを2015年4月1日の組織改編で設置している。関西電力も東京電力に次ぐ規模の水力発電所を生かして事業拡大を図る狙いだ。

 小売事業のお客さま本部には「ガス営業部」を新設する。2017年4月にはガスの小売も全面自由化されて、家庭向けに電力とガスをセット料金で販売できるようになる。関西電力の管内に限らず、電力とガスを組み合わせたエネルギー事業を全国に展開するための布石である。

 東京電力も会社分割の前に2015年7月1日に実施する組織改革で、ガスの販売事業を拡大するための新組織を発足させる(図3)。小売事業を担当する「カスタマーサービス・カンパニー」の中に「E&G事業本部」を新設する。「E&G」はエレクトリック(電力)とガスの英文を略したもので、新組織の狙いは関西電力と同じだ。

toden_soshiki1_sj.jpg 図3 東京電力が2015年7月1日に移行する新組織(画像をクリックすると拡大)。出典:東京電力

 一方で火力発電事業については、中部電力と設立した合弁会社「JERA(ジェラ)」へ移行する準備を進めていく(図4)。火力発電に利用する燃料の輸送・トレーディング事業からJERAへ移行する予定で、2015年10月をめどに中部電力の燃料事業と統合して一体的に運営する。さらに2017年の春には、既存の火力発電所を含めて両社の事業をJERAへ全面的に移行することも検討中だ。

toden_soshiki3_sj.jpg 図4 「JERA」が担当する火力発電事業の範囲。出典:東京電力、中部電力

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