メガソーラーに3D技術を活用、複雑なゴルフコースの上に日陰作らずパネルを配置自然エネルギー

長崎県の南西部に位置する田手原町のゴルフ場跡地に、出力約13.2MW(メガワット)の「長崎田手原メガソーラー発電所」が完成した。ゴルフ場特有の起伏の多い複雑な土地の上に、3D技術を活用して日陰ができないようアレイを最適に配置しているのが特徴だ。

» 2015年06月01日 11時00分 公開
[スマートジャパン]

 出力13.2MWの長崎田手原メガソーラー発電所は、三菱商事が100%出資するダイヤモンドソーラージャパン、戸田建設、三菱UFJリースの3社が共同出資で設立した事業会社が開発を進めた。2015年4月15日に稼働を開始しており、年間の発電量は一般家庭3500世帯分を見込んでいる。再生可能エネルギーである太陽光を利用することで、年間4100トンのCO2削減効果があるという。

図1 上空から見た「長崎田手原メガソーラー発電所」 出典:戸田建設

 長崎田手原メガソーラー発電所は田手原町のゴルフ場跡地、約28ha(ヘクタール)を活用している。ゴルフ場の跡地にメガソーラーを建設する事例は多いが、同発電所は周辺環境に配慮して大規模に土地を造成せず、太陽光パネルの設置方法を工夫してゴルフ場特有の複雑な土地の起伏をそのまま利用しているのが特徴だ(図2)。

図2 ゴルフ場特有の複雑な起伏の土地に効率よくアレイを設置している 出典:三菱商事

 太陽光発電設備を建設する際には、複数の太陽光モジュールをまとめたアレイが日光を遮ってしまうことで、他のアレイの発電効率が損なわれないように配慮する必要がある。今回の事業におけるEPC事業者である戸田建設は、複雑な起伏のある土地に最適にアレイを配置するため、3次元(3D)技術を活用した。

 その手順はまず3Dレーザースキャナで土地の形状を計測して地形を3D化し、次に戸田建設が独自開発した「アレイ割付プログラム」を利用して、アレイの最適な配置図面を作成するというものだ(図3)。

図3 アレイの配置図 (クリックで拡大)出典:戸田建設

 こうした手法により煩雑化が予想された測量手順を簡略化し、さらに一年のうちで最も太陽高度が低くなる冬至日でも太陽光パネル同士で日陰が生じないようにアレイを配置することに成功した。この手法は戸田建設が開発を進めている「宮崎国富メガソーラー発電所(仮称)」の施工でも活用されているという。

 太陽光パネルには三菱電機製のものを5万554枚使用しており、その他のパワーコンディショナー、遠隔監視システムなどの発電設備も同社が納入している。同発電所は2015年4月15日から20年間にわたって発電を行う計画で、発電した電力は再生可能エネルギーの固定買取価格を利用して売電していく。20年間の保守点検業務については東洋ビルメンテナンスと三菱電機プラントエンジニアリングが担当する。

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