北海道発「水素サプライチェーン」の検討開始、WG設置へ自然エネルギー(1/2 ページ)

北海道では2015年3月に水素社会の形成に向けた取り組みを推進するために「北海道水素イノベーション推進協議会」を設置。このほど、第1回会合が開催され、水素サプライチェーン構築の検討などを行うワーキンググループを設置することなどを決めた。

» 2015年08月06日 09時00分 公開
[三島一孝スマートジャパン]

 「水素・燃料電池戦略ロードマップ」など、政府が積極的に水素社会実現に向けた取り組みを強化する中、各地の自治体でも具体的な活動が広がりを見せている(関連記事)。特に2020年にオリンピック・パラリンピックを開催する予定の東京都では、同大会を水素社会の見本市にすべく技術発信の準備を進めているところだ(関連記事)。

 水素社会の実現に向けては、燃料電池の社会への本格実装を目指す「フェーズ1」、水素発電の本格導入と大規模な水素供給システムの確立を目指す「フェーズ2」、総合的なCO2フリー水素供給システムの確立を目指す「フェーズ3」という3つのフェーズが想定されている。このうちフェーズ2は、現在の化石燃料の利用サイクルを水素に置き換えることを目指したもので、ポイントとなるのが水素を製造・貯蓄し、利用地に輸送する水素サプライチェーンの構築ということになる。

 この水素サプライチェーンにおける一大製造地として期待が集まっているのが、北海道である。再生可能エネルギーが豊富な北海道や東北で作った電力を水素に転換してから、需要が大きい首都圏などへ送って燃料電池に供給する。2020年の東京オリンピック・パラリンピックでは、燃料電池車や燃料電池バスを数多く導入することが決まっているが、その水素供給源としても期待を集めている。

水素の製造拠点として注目を集める北海道

 これらを背景に、産学官が連携を図り、北海道における水素社会の形成に向けた取組を推進するため2015年3月に「北海道水素イノベーション推進協議会」が設置された。2015年7月30日には第1回の同協議会が開催。北海道の水素社会形成に向けて「北海道水素社会実現戦略ビジョン」の骨子案がまとめられた他、実現に向けたワーキンググループの設置を決めた。

 北海道水素社会実現戦略ビジョンは「北海道全体の水素社会の在り方やサプライチェーン構築」「環境産業の育成や振興」「低炭素で安心安全な地域づくり」を3つの柱としていくもの。骨子案では、北海道の抱える課題や優位性などの他、水素の製造、貯蔵、運搬、利用などに関する技術や施策の展開方法などについて言及している(図1)。

photo 図1 北海道における水素社会形成に向けた全体イメージ 出典:北海道
       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.